「めがね」「かもめ食堂」と同じスタッフが作った映画ということで、色々話題になっていますが、「かもめ食堂」のほうがよかったという人が多いようですね。でも、私個人的には、こっちのほうが絶対好き。 前作がよかったという人の中には、「めがね」を見てあまりにもリアリティがなさ過ぎる、何事もなく淡々と時間が過ぎていって何がいいたいのか分からなかった、などの意見もあるみたいです。でも、私にとっては、フィンランドで、日本人が開いた食堂という設定よりも、日本のどこかの海辺の田舎町(実際のロケ地は与論島)というこの設定のほうがよほど現実味が感じられたのですから、人によって感じ方って実にさまざまですね。確かにどちらの映画もファンタジーチックな部分はあるのですが、たぶん沖縄の離島に行ったことのある人なら「めがね」を見ていて「あるある、こんな瞬間」と何度も感じるのではないかと思います。 宿の主人が客の荷物を入れるのを忘れて庭に放ったらかしで出かけてしまったり、冷蔵庫のものを適当に食べていいと言われたり、ごはんはその日の気分でバーベキューになったりお弁当を持っていって外で食べたり、宿の主人が書く地図がすごく分かりにくかったり(でもそれを改善する気はぜんぜんなかったり)、あんまりお客が増えると困るからと目立つ看板を上げなかったり、宿の主人も客もみんな揃って同じ食卓でごはんを食べることになっていたり、そのメンバーになぜか宿泊客でない人が混じっていたり…沖縄の宿だったらありえるもんね、こんなこと。 そして強い日差しと屋根の下の陰のひんやりした感じのコントラスト、その日陰に座りながら眺める外の白さ、まぶしさ…。「これ、このかんじ、知ってる」って思いながら心の中には沖縄やバリでのなんにもしない時間がぼわーんと浮かんできて…。 ハマダの住人(宿泊客というよりこの方がしっくりくると思う)に必要な条件は「たそがれる」才能。みんなところかまわず、時間もかわまず、あちこちで「たそがれ」ています。別にたそがれ時でなくても、いいんです。一方のマリンパレスに泊まる人たちが「何かに意味を見出すために」1日のスケジュールを組んでまでスローライフを送ろうとしているのとは対照的で、その対比がすごく印象的でした。そして、そんなハマダを最初居心地悪く感じていたタエコが徐々にハマダのリズムに溶け込んで行き「観光するところなんてないのに、何をすればいいの?」というスタンスからついには、「タエコさんはいつまでいるんですか」と尋ねられて「あきるまで」と答えるようになっていく過程がとてもほほえましかったです。 浜辺にビールを持って座ったヨモギがいうセリフ「先生、ここで飲むビールは、最高です。でもたそがれるのも最高です。」うう…いいなあ…。そしてサクラが台所であずきを煮る鍋を見つめながらいうセリフ「大切なのはあせらないこと。あせらなければ、そのうち、きっと…。」最高ですね…。うぉーっ私もたそがれたーい!てなわけで、今週末、私も八重山に行ってきます。浜辺でビール飲んでたそがれるぞー。
by cita_cita
| 2007-10-01 23:03
| 映画
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