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ネパール紀行 その4

今回はチベット仏教寺院の話。

ネパールにはヒンズー教の人が一番多い(80%)のですが、仏教徒もたくさん住んでいます。仏陀の生誕地といわれるルンビニもネパールにあります。私が行ったカトマンズ周辺には、ネワール族といわれる人たちが多く住んでいて、この人たちは主に仏教徒(大乗仏教)です。また、チベットの混乱時にネパールに移民してきたチベット人も多く、彼らももちろん仏教徒(チベット仏教)です。

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インドが多民族というのは有名ですが、実はネパールもかなりの多民族国家で、シェルパ族などの山岳少数民族も含め70以上の民族が住んでいるそうです。町を歩いていても、結構色々な系統の顔の人がいます。考えてみれば、日本や韓国のようにほとんどの人が同じ系統の顔っていうほうが世界的には珍しいのかもしれないですね。特に日本は島国だから、余計にそうなっちゃったのかも。

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カトマンズを代表する光景といえば、ここかもしれません。スワヤンブナート寺院。カトマンズ盆地の中にぽっこりそびえる小高い丘の上にあるネパール最古の仏教寺院です。約2000年前に建立されたとのこと。このあたりには、チベット系の人が多く住んでいて、ヒンズー教寺院でインド系ネパール人をたくさん見た後に彼らの顔を見るとなんだか日本人に近くてほっとします(笑)

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365段の急な階段を上った先に、ドーンとそびえ立つストゥーパ(仏塔)はあまりにも有名。

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ストゥーパに描かれている仏陀の智慧の目は、森羅万象あらゆるものを見る力を持ち、額にある第三の目はさらにその物事の奥底までを見抜いてしまうといわれています。鼻の位置にある?マークのようなものは、ネパールの文字で数字の1を表します。悟りに到達するためには仏教というただひとつの道しかないことを意味しています。

これまでに何度となく、写真やテレビでこのお寺を見てきましたが、やはり本物を目の前にしたときは、「あぁー、ついにネパールに来たんだなぁ!」と感動しました。

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ここに限らず、仏教のお寺はすべて時計回りに歩くのがしきたりになっています。周りにあるマニ車を回しながら歩きます。

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マニ車というのは、チベット仏教で用いられる法具です。「オーム・マニ・ぺメ・フーム」という真言(仏教でいう南無阿弥陀仏みたいなもの)を唱えながらマニ車を回していきます。マニ車の中には経文が入っており、1度回すと、お経を1回唱えたことになり、功徳を得られるというものです。おみやげ物やさんでは、小さなミニチュアのもの(でんでん太鼓みたいに手で持って回す)も見ました。ちなみに、逆方向に回すと、悪いカルマ(業)が生じるそうなので、絶対に方向は間違えないこと!!

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チベット仏教寺院の周りに無数に飾られているこの5色の旗のような布は、タルチョーといわれています。青は空、白は雲、赤は火、緑は水、黄色が土を表しています。旗の中央には「風」「速さ」を象徴する馬が描かれていて、願いごとが早く成就することを意味していたり、仏画が描かれています。その他に虎、獅子(キリンビールのシンボルである「麒麟」)、鳳凰、龍が描かれています。そして生命力を高め、幸運、富、健康に恵まれるようにという意味のチベット語や、さまざまな真言(マントラ)が印刷されています。

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このタルチョーが風にはためくと、功徳が風下に流れていくと言われています。なんだかステキですね。そのためお寺だけでなく、家の屋根に飾ったり、ヒマラヤのベースキャンプや山頂などにも見られます。

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なぜかお寺の周囲にはたくさんのサルが住みついています。日光や箕面(バリのモンキーフォレストもそうですね)と同じく、中には悪さをするヤツもいるので持ち物(特にスーパーの袋など)には気をつけましょう。

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寺院からはカトマンズの町並みが一望できます。でも晴れていても、なんとなくいつもうっすら白い感じ。実はカトマンズ市内は、メキシコシティと並び称される「大気汚染の町」。メキシコシティが世界一、カトマンズは二番目に空気が悪いと言われています。どちらも高地(カトマンズは海抜1340m)にあって、大昔は湖だったといわれる場所がそのまま盆地になって汚れた空気の逃げ場がなく溜まりやすい地形であること、急激な車の増加にもかかわらず排ガス規制が遅れていること、さらに未舗装の道路が多くて砂ぼこりがすごいこと…など、大気汚染の要素をバッチリ満たしているのです…。カトマンズに行くときは、マスクを持っていくことをおススメします。

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街中でも舗装されていない道が多く、また、建設ラッシュのためレンガ工場のばい煙がすごくて、マスクせずに長時間ウロウロしてると、ちょっと口の中がジャリつくことも(汗)

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あと、カトマンズの道路事情は非常に悪いです。舗装されていてもでこぼこ、道にはごみや、トラックからの落し物などがそのまま落ちたままだし、狭い道にはヤギや牛もいるし、交通ルールもあってないようなもの。道を間違ったら逆行も当たり前。中心部でも信号もほとんどありません。道路を渡るのもかなり本気の命がけです。私は今まで、ベトナムの道を横切るのが一番怖いと思いましたが(次はインド)、今回カトマンズに行って、ここがNo.1になりました。あ、でも田舎の道はそんなことないですよ。

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申し訳程度に存在する信号機の周りもすごいことになっています。この無秩序な電線…。しかも信号は機能してなくて、結局警官が交通整理してたり。ほぼ毎日計画停電(予告された時間に電気がストップする)があるので、信号もあまりアテにならないのかも。

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そんな中で、この道はめっちゃキレイやん!と思ったら、日本の援助でできた道路だそうです。すごいぞ、ニッポン。

そして、別の日に行ったのは、ボダナート寺院です。こちらは先ほど紹介したスワヤンブナートと違い、低地にあるのですが、ストゥーパの大きさではこちらがネパール最大ということです。ちなみに以前紹介したシェンチェンゴンパ(僧院)やクリニックもこちらボダナート寺院から歩いてすぐの場所にあります。

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交通量の多い道路から、ひと筋入ったところに、忽然とこの巨大ストゥーパが姿をあらわします。これはかなり感動ものです。私は、スワヤンブナート寺院より、こちらのボダナートのほうが強い癒しパワーを感じました。観光地というよりも信仰の場所なんだなと実感できた場所です。機会があれば、ぜひもう一度行きたいと思っています。このお寺の近くに泊まって、早朝に散歩をしてみたい。

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ちなみにこちらの道路がボダナートから徒歩30秒のバス通り。まさかこの裏にあんな荘厳な景色が待っているなんて思えないですよね。

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寺院の周りには古い建造物がたくさん並んでいます。決して手入れが行き届いているとはいえませんが、ひとつひとつの建物が美しいと感じました。これらの建物は、今はホテルや食堂、仏具屋さん、土産物屋さんなどになっています。

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このお寺に吸い寄せられてきたかのように、周辺にはたくさのチベット系住民が住んでいます。この女性のように特徴のある柄の民族衣装を着ています。

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ストゥーパの正面にも寺院があり、こんなに巨大なマニ車があります。

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また、このお寺の二階に上るとストゥーパを少し高い位置から見ることができます。人のサイズを見るとストゥーパがどれぐらい大きいか分かるでしょうか。

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ストゥーパの周りを歩くとこのような木の板がありました。ここはあの五体投地でお祈りするための板なのです。五体投地って聞いたことありますか?チベット仏教でのお祈りの方法で、五体(両手・両膝・額)を地面に投げ伏して大地にひれ伏し、仏様や高僧に礼拝することで、仏教における一番丁寧で正しい、最上の礼拝方法とされています。チベットでお坊さんが聖地を目指すとき、この五体投地を繰り返しながら、少しずつ少しずつ前に進んでいく巡礼(というか修行?)の方法があるそうです。普通に歩けば数日、数週間で進めるような距離を何ヶ月、何年もかけて行くのです。常人の私には、気の遠くなるような話ですが本当です。ちなみに、ここではみんな五体投地を数回したら、後はストゥーパの周りを普通に歩いて回っていました。

仏教のお寺の紹介も、書き出すと結構長くなっちゃいましたね。次はポカラでのトレッキングの様子を紹介したいと思います。
by cita_cita | 2010-11-17 23:06 |
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