カテゴリ:読書( 79 )

「フランス日記」 高山なおみ

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私の大好きな料理研究家、高山なおみさん。彼女の作る料理やそのレシピも好きだけれど、何より彼女の書く文章や自然体で決して器用ではない(むしろ不器用な)生き方、考え方に本当にひかれます。

この本は、そんな高山さんが自身の料理本「じゃがいも料理」製作のための取材旅行としてフランスを訪れたときの旅行記。もともとは彼女のブログ「日々ごはん」に書きあらわそうとしたものが、あまりにも色々なことが浮かんでくるため書ききれなくて、「日々ごはん特別編」として出版されたものです。

生まれて初めてヨーロッパの地に降り立って、目で見るもの、聴こえてくるもの、食べたものを通じて感じたあらゆることを、本当に自然体に、ありのままに書く高山さんの文章を読むと、やっぱりこんな人、なかなか居ないよなあと改めて感心してしまう。そうして綴られた文章を読むうちに、何度も何度もはっとさせられる。

例えば、生牡蠣を食べたときの印象を彼女はこう表現している。
「レモンを絞ってすすると、海の味が口から喉までいっぱいに広がる。生牡蠣には必ずパンとバターがついてくるそうだが、なんでその組み合わせなのか、食べてみて分かった。そこら辺にあるような、ただの田舎パン(カンパーニュ)なんだけど、牡蠣の味が残っているうちにバターをつけて食べると、口の中がすごくおいしくなる。牡蠣の海水と、パンの苦味と酸味、塩気の強いバターはちょっと酸味もある。」

そして、その後をこう結んでいる。
「おいしさって、口に入れてすぐに分かるものではないんだな。噛んでいるうちに混ざり合って、口のあちこちに広がって、飲み込んでからもまた後味みたいなのが上がってきておいしいんだ。よく食べ歩きのテレビ番組で、タレントさんが食べてすぐにコメントするけど、やっぱりあれは信じられない。」

高山さんの文章は、決して技巧に富んでいるわけでもないし、むしろとても不器用で、プロっぽさとは対極にあるような素朴な文章だと思う。でも、そこに嘘も、読む人がどう感じるかという計算もなく、決して格好をつけず自分に素直であろうとしているから、こんなにも心に響く。自分の感情を、自分の中身をじっくりと時間をかけて見つめて、やっと出てくる言葉だから他の誰とも違う「高山なおみ」の文章になる。こんな風に物事を見つめて、こういう文章を自分も書けるだろうかと思うけれど、そう思ってしまう時点で無理なんだろうなぁ…。
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by cita_cita | 2007-06-22 22:19 | 読書

「おいしいコーヒーをいれるために」 中川ちえ

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コーヒーのことについて書いていたら、もうちょっとコーヒーについて勉強しようかなという気になりました。で、まず読んだのがこの本。
この中川ちえさんという方は、あの「中川ワニ珈琲」主催の奥様です。でも、彼女はコーヒーのプロである旦那様を持っているものの、基本的には「日常の暮らしを楽しむこと」が好きな、コーヒーに関してはごく普通の一般人というスタンスでこの本を書いています。そんな彼女が提案するおいしいコーヒーをいれるために必要なポイントはとってもシンプル。
①新鮮な豆を
②そのつど挽いて
③そのとき飲む分だけをいれる

ただ、これだけです。そして、この本には豆の種類や焙煎の方法など専門的なことについてはほとんど書いてありません。ただ、ペーパードリップで、自宅で1人分(あるいは2人分)のコーヒーを入れるときの手順が写真入りで丁寧に解説されているだけです。でもこの写真が秀逸。というのは、お湯を注いだときのコーヒー表面の状態と(いい状態の豆を挽いてお湯を注いだとき、どのような感じで豆表面が盛り上がり、どのような泡が立つのかなど)、その時のコーヒーサーバーの状態(例えば、抽出されたコーヒーがどのぐらいサーバーに落ちているか)を少しずつ時間を追って比較しながら、紹介されているのです。私も、この本を参考に、おいしいコーヒーを入れる練習をしてみようと思います。

「田口護の珈琲大全」 田口護
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こちらは打って変わって専門的な一冊。コーヒー初心者向きというよりは、コーヒーを商売にしたい人や、既にカフェのオーナーになっている人が読んだとしても参考になりそうな本。コーヒー豆の特徴や栽培方法、選別の仕方、焙煎のしくみやその方法などについて、事細かに説明された、まさに「珈琲大全」の名にふさわしい本です。私には難し過ぎる部分もあるのですが、とりあえず興味のある部分から読み進めていこうと思っています。
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by cita_cita | 2007-06-04 20:30 | 読書

「地球の食卓~世界24カ国の家族のごはん」ピーター・メンツェル

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これは報道写真家のピーター・メンツェル氏と、彼の妻であるジャーナリストのフェイス・ダルージオのカップルが、世界24か国を訪ね、そこで暮らす30家族の「食生活」について取材した記録です。それぞれの家族ごとに家族の全員と彼らが1週間の間に食べた食料を一緒に並べて撮影した写真が掲載されていて、その食料の内容リストと金額、定番料理のレシピや日常生活の一部を撮影した写真と文章による説明が30家族分紹介されています。もちろん日本(東京と沖縄の2家族)も紹介されていて、アメリカ、オーストラリアからパプア・ニューギニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、スーダン、グリーンランドなどなど、これを見ているだけで世界各国を訪れたような気分になります。

それにしても興味深いのが国によってこうまで違うのかと思わされる食材の量とバリエーション。この人数でこれは多すぎるだろうと思う家族もあれば、その倍のメンバーがいても半分にも満たない食料で暮らしている家族がいます。また、膨大な量に見えてもその数十%がゴミとなって捨てられてしまうのではと思えるほど過剰に、美しくパッケージされた加工食品ばかりで暮らす家族がいるかと思うと、その反面、ゴミはほとんど出ないだろうと想像できるようなシンプルな食材を食べている家族が地球の反対側に居たり…。でも、そんな中でもページをめくっていて目に飛び込んでくるのは、その国の存在する位置や種族、気候の違いにかかわらず世界中あちこちの家族の写真に登場してくるコカコーラ、ネスレ、ケロッグなどのおなじみのパッケージたち。

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アメリカのキャベンさん一家

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ブータンのナムガイさん一家

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スーダンのアブバカルさん一家

単純に食料品を並べて家族を紹介しただけのこの本には、実に様々な情報が隠されているのです。そこに何が含まれているのか、それを読み解いていくのは本を開く私達自身なのだと思います。それは貧富の差であり、文化の差であり、環境問題であり、食と健康(肥満や様々な病気)であったりします。普通のサイズより大きめの本で、ページ数もそれなりにありますが、その大きさ以上のものが詰まっている本だと思います。小学生の時カギっ子だった(こんな言葉今は使わないかな?)私にとって、両親がそろえてくれた写真いっぱいの「こども百科事典」は大好きな暇つぶしの遊び道具であり、色んなことを教えてくれた先生でした。もし、将来私が子供を持つことになったらこの本を何度も何度も一緒に見ながら子供の成長とともに色んなことを語り合いたい、そして自分も一緒に成長していきたい、そんなすばらしい本です。
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by cita_cita | 2007-03-10 11:11 | 読書

「経済ってそういうことだったのか会議」佐藤雅彦・竹中平蔵

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2月が私の誕生日だったのですが、誕生日が来たら誰でも例外なく歳を重ねるわけで。それで今年はどうしたものかなーと、新しい1年間の抱負について考えました。

で、結論なんですが「苦手分野を克服すること」、それと「好きな分野を深めること」、この2つにしようと思います。前者の抱負について考えたきっかけは誕生日前日のラスト3時間で見た「不都合な真実」だったんですよね。今まで、知ってるつもりであまりにも無知だったことにいきなり気付いて愕然として…。「うわあああー私、どうすればいいんだ!」って悩んだあげく、悩んでてもしかたないから、とにかくできることをやろうと。そのためにはまず、勉強して少しは詳しくなろうと思いたち、今年はエコ関連の本を意識的に読むことにしました。

それとは別に、私の苦手分野というか、歳相応というにはあまりにも無知な分野がもうひとつ。それは「経済」なんです。経済、マネープラン、株、そのあたりは意識的に避けて通ってきたんですが、さすがにもうまずいだろうということで。で、今年は経済のことも去年よりは詳しくなろうと思って、まず選んだのがこの本。買ったのが本屋でなく「ヴィレッジ・バンガード(しかも金沢店)」というところが私らしいというかなんというか(笑)

この本はあの「だんご3兄弟」(知らない人いるかな)の生みの親、広告クリエイター佐藤雅彦氏(経済の素人代表)と小泉内閣の閣僚として総務大臣、郵政民営化担当大臣を担当した竹中平蔵氏(経済の玄人代表)が「経済って何?」というテーマについて2年半にわたり、10回以上も対談した内容をまとめたもの。「お金って?」「ダウって何なの?」「(税金は)払うのか、取られるのか?」というすごくベーシックかつ、いい歳したオトナがいまさら聞けないような質問に対して、竹中さんが学校の先生みたいに分かりやすい平易な言葉で説明してくれるのが初心者向きでとても好感が持てます。また、竹中さんの話した言葉の中でポイントになるようなセリフを「竹中語録」として手書きでページの隅に書きとめてあったり、だんご3兄弟風のイラスト解説があちこちにちりばめてあったりで、非常に楽しいです。経済食わず嫌いの私でも、飽きずに最後まで読めました。

印象的だったエピソードとしては「コロンブスはベンチャー企業で、イザベラ女王はベンチャーキャピタルだ」というもの。大航海時代、コロンブスのした旅は非常な危険が伴うまさに「ハイリスク・ハイリターン」のビジネス。それに対して彼の能力と可能性を買って巨額の資金を投資したのがスペインのイザベラ女王という関係だといわれたら、「ほぉー!」って思いませんか?えっ、思わない?(私、経済は弱いけど歴史は好きだから結構ツボだったんですが…)

他に、日本のサラリーマンは源泉徴収の上、年末調整まで会社が代行してくれるから、生まれてから一度も税務署に行ったことがない、税務署がどこにあるのかも知らない人が大半。これが税への興味や意識を薄めてしまい、自分がいったいどのような名目でいくら税金を払っているのかに対し無関心になってしまうと書かれていて、ああ、なるほどな!と思い当たるフシあり。うちは私がサラリーマン、両親は自営業なんでこの感覚の違いはよーく分かります。そうだよなー、私達、高額納税者番付に入った芸能人の納めた税金の額は知ってるのに、自分自身の税金の額を言えなかったりするものな。アメリカとかだと、源泉徴収の会社もあるのだけど、年末調整まで会社がやってしまうなんてことはないのだそうです。

というわけで、この本、ビギナーの私にはとーってもためになりました。一応「ダウって何」「日経225って?」ということも初めて知りましたし(汗)さて、次は何を読もうかな…。

ちなみに今年の抱負の「好きな分野を深める」については、ヨガと落語とうまいもん、ということにしてみました。こっちはさほど苦労せずにクリアできそうですが(笑)、さて1年後どうなってることでしょう。
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by cita_cita | 2007-03-08 23:36 | 読書

「しゃべれども しゃべれども」 佐藤多佳子

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ずいぶん前に知人に薦められ、本も持っていたのに、最近になってやっと読んだ本です。

この物語の主人公、今昔亭三つ葉こと外山達也は、江戸落語の噺家で、現在26歳。前座から二ツ目に昇進して、真打ち目指して奮闘しています。そんな彼がひょんなことから素人集団に落語を教えることになってしまいました。生徒はそれぞれクセモノばかり。男前なのに自身がなくて緊張するとつい吃音が出てしまう対人恐怖症気味の綾丸良、美人だけどとんでもなく無愛想で鉄仮面、一旦喋るとケンカを売るような話し方しかできない戸河五月、バリバリの関西弁&タイガースファンが災いして、転校先で孤立してしまった生意気な小学生、村林優。そして現役時代は毒舌キャラの代打の切り札として名を知られたが、解説者になってからは視聴者を気にして言いたいことも言えなくなってしまった元プロ野球選手の湯河原太一。

そんな彼らの中に、誰一人真剣に落語を学びたいという者がいるはずもなく、ただ「話し方教室」に行くようなノリで月に数度、三つ葉の家にぞろぞろと集まってくる。全員、年齢も境遇も性格もバラバラで最初は全く気が合わず、集まれば落語を習うどころかピリピリと一触即発の険悪ムード。三つ葉は「こんなことする意味が本当にあるのか」と負担に思いつつもこの妙な集会は続いていきます。

物語が進むうちに、それぞれが抱えた心の中の悩みと、うまく喋れない原因が明らかになってきます。そして、喋ることが商売であり、でかい声と度胸と無鉄砲さが持ち前のセールスポイントであったはずの三つ葉にも変化が…。喋ることにかけては絶対の自信を持っていたはずの三つ葉が、高座に上がっても以前のようにするすると言葉が出なくなってしまいます。これまでに経験したことのない、初めてのスランプ。喋ることへの不安と恐怖。自分のやりたい落語とは、どんな落語なのか、考え出すとますますうまくできなくなる悪循環。これまでは尊敬する小三文師匠をお手本に、師匠に少しでも近づくように夢中でやってきた三つ葉。経験や貫禄が足りない部分は、若さと元気よさでカバーでしてきました。そしてお客もそれを三つ葉の魅力として受け入れてくれました。でも、師匠から「自分の落語をやれ」と言われて改めてネタに取り組むと思うようにいきません。これまで何度も高座で披露した演目の、知っているつもりでいたはずの登場人物や場面設定を、自分は何も分かっちゃいなかったことに気付いてしまったのです。これまで「二番煎じ」と言われても気にならなかったはずの回りの批判が心に突き刺さります。以前はお客の笑い声に助けられ、乗せられて楽しく落語ができたはずなのに、今はお客の反応が気になって自分の落語ができなくなってしまった三つ葉。それ以前に、「自分の落語」って一体何なんだ?と自問自答を繰り返します。同時期に恋愛の悩みも重なって、今昔亭三つ葉、いや外山達也、人生最大のピンチ到来。

このときの状態を三つ葉はこう分析しています。「綾丸良は”良し”が圧倒的に足りない。十河五月も”良し”がもっと必要だ。村林優は無理をした”良し”が多い。湯河原太一は一部で極度に多く、一部で極度に少ない。外山達也は満タンから激減して何がなにやらわからなくなっている」 ここでいう”良し”は自分に対する"良し”、つまり自信と言い換えてもいいでしょう。でも、こうなって初めて三つ葉には「しゃべること」に対する生徒たちの悩みを本当に理解することができたのです。ここからは口は悪いけどおせっかいで困った人を放っておけない(まるで落語の登場人物みたいな)三つ葉の本領発揮というわけで、4人の生徒の悩みに首を突っ込んでは迷惑がられたり感謝されたり…。

そんな中、ついに戸河と村林が日頃の練習の成果を発表する場がやってきます。そう、三つ葉から稽古をつけてもらっていた「饅頭こわい」を知人の前で発表するのです。三つ葉もまた、師匠の十八番である「火焔太鼓」を一門会という晴れ舞台で披露することに…

ちなみに火焔太鼓といえば、故古今亭志ん生や志ん朝の十八番。また、大阪弁の村林が作品中で覚えるのは江戸落語の「饅頭こわい」ではなく、あの枝雀師匠の上方バージョン。落語に興味のある人なら絶対楽しめるはず。三つ葉の落語口調で進行していく物語は、まるで物語全体がひとつの落語そのものであるようにテンポがよくって、文字だけなのに不思議なほど場面が頭に浮かんできます。

「しゃべれども しゃべれども」伝わらないときもある。言葉に傷つけられ、言葉にいらだち、言葉を口に出すことを怖いと思うこともある。でも逆に、言葉に救われ、言葉にうれし泣きし、言葉に力を与えてもらうこともある。人間のコミュニケーションのうち言語の占める割合は半分以下、その他は身振りや表情などの非言語コミュニケーションだといいます。(正確には言語そのものが7%、残り97%のうち55%が身振り・表情、38%が口調とも) でも、たかが言葉、されど言葉なのですよね。朝日新聞じゃないけれど「言葉のチカラ」について考えてみるのもいいかもしれません。(個人的にマスコミがイメージアップのためにあのメッセージを使うのはずるいと思うけど 笑)

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今年の初夏にこの作品が映画として公開されます。三つ葉を演じるのは国分太一。劇中では「饅頭こわい」も「火焔太鼓」も披露するそうです。また、村林役の森永悠希くんは、オーディションの時点で既に落語を丸暗記して登場し、監督を驚かせたとか…。どんな映画になるのでしょうか。公開が楽しみです・・・。
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by cita_cita | 2007-02-06 23:17 | 読書

「ドギマギ★パリ」 ハセガワアヤ

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~思い立って訪れた夢にまで見たパリはド派手でキッチュな街だった~ 

三線つながりの友人、イラストレーターのハセガワアヤさんのイラストエッセイ本です。いつもオシャレなアヤさん、休日はちょっと気軽に「着物でおでかけ」したりして、そんな姿でふらりと三線の練習に現れたりしてめちゃかっこええのですが、はじめて訪れたパリの印象は強烈だったらしく、この本からもそんな様子がたっぷり伝わってきます。彼女のカラフルでガーリーな絵柄にまたパリの雰囲気がぴったり合うのです。

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私も2年前パリに行ったことあるけれど(一瞬だけ)、やっぱり目の付け所が違うというか、同じ街に行っても感じることが私とは違うのが新鮮で面白い!髪の毛を後ろでひっつめて歩いてるおしゃれな女の子を見て「私がマネしたら休日の力士状態…」というくだりは思わず笑ってしまった。興味をもたれた方はミニョン堂まで。
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by cita_cita | 2006-12-06 23:42 | 読書

「いつも、ふたりで」 岡西 克明・岡西 松子

e0066369_20173891.jpgこの本のサブタイトルは、
「ばーさんが、じーさんに作る食卓」。
カバーコピーはこんな感じです。
”愛する人に美味しいものを…「減塩・ローカロリー・外食ナシだけど、まずいものはイヤ!」
そんなわがままじーさんに、一生懸命美味しいものを作るばーさんの食卓日記。68歳の夫婦が京都の山奥で始めた「心やさしくさせてくれるブログ」が、本になりました。”


でも、ここに載っているのは、失礼ですが、とても68歳の女性が作ったとは思えないようなオシャレでおいしそうなメニューの数々。もちろん、ちりめん山椒や手前みそ作り、栗ごはんなんてオーソドックスなのもありますが、いちじくのガレットやたこのジェノベーゼ、ワタリガニとなすの香り蒸し、牛テールのブランディ風味スープなどなど、本当に食欲をそそられる(それでいてかつ健康的)な食事のレシピがいっぱいつまっています。またこの写真がすっごく上手!こんな写真が撮りたい!料理をつくるのは奥様、そして旦那様が写真を撮ってブログの書き込みをする担当なのだそうで、文章も本当に読みやすくて楽しい。

高山なおみさんのレシピもちょくちょくアレンジしながら取り入れておられるみたいで、私にとってもすごく参考になります。自分が食べたいものを作るのも楽しいけれど、大切な人によろこんで食べてもらうために色々と工夫したり時間をかけて作る料理って、すばらしいですね。もちろん、おいしそうなゴハンの数々は、今も毎日更新され続けています。そんな「ばーさんとじーさんの食卓」をちょっと覗いてみたいなと思った方は、こちらのブログへどうぞ!きっと気持ちがあったかーくなりますよ!(お腹がすいちゃうけど)
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by cita_cita | 2006-11-14 00:14 | 読書

「京都でのんびり」 小林由枝

e0066369_0483544.jpg京阪淀屋橋駅の本屋さんで並んでいるのを見つけました。京都生まれ京都育ちのイラストレーターが、京都を紹介したイラストガイド本です。作者の小林さんは大学で日本画を専攻されていたそうで、これがイラストレーターとしての最初の出版物だそう。日本画の要素が入ったイラストは、繊細な色使いとやわらかい線が特徴で、イラストを眺めているだけでもかなり癒し度が高いです。内容も、さすが京都在住の作者が書いただけあって、単なる観光ガイドとは違って、地元に住んでいる私にとっても参考になる情報が満載です。京都は何度も行っているから、そろそろ「暮らしているように」京都を旅してみたいというリピーターにもおススメです。

もちろん下鴨神社や八坂神社などメジャーなお寺や神社もたくさん紹介されているのですが、それらの観光地の周辺のお店やちょっとした路地裏に向ける視点が、まさに住んでいる人ならではの目線なのです。例えば私の氏神様でもある北野天満宮の項目では神社の由来だけでなく、地元のみんなが何気なくやっている牛の像をなでる習慣(自分が良くなりたい場所を撫でます。北野天満宮は学問の神様だから、当然牛の頭はみんなに撫でられてツルツルに光っています)や灯篭に掘り込まれた大黒さんの鼻の穴に小石を入れる習慣(これを落ちないように乗せるのに成功したら、その石を財布に入れて持っていると金運が上がるらしい。私は知りませんでした…)などへぇーと思う情報がたくさん載っていて、これを持って京都を旅すればきっとその場所を訪れる楽しみが倍増するだろうなと思います。京都に来てからこれを買ってもよし、京都以外の場所でこれを読んで次回の計画を練るもよし、はたまたイラストエッセイとして楽しむもよし。

この本を持って旅するなら、断然徒歩がおススメ。歩くスピードでゆっくり回りを観察すればきっとこの本にさえ書かれていないような自分だけの発見ができるような気がします。色んな情報がまんばんなく詰まっているので、歴史好きにも、雑貨好きにも、そしておいしいもの好きな人にもおススメの1冊です。
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by cita_cita | 2006-10-28 00:44 | 読書

「おもちかえりアジア」 おおのきよみ

e0066369_1610648.jpg自分自身は絵がまったく駄目なので、旅に出たときさらさらっと気になった場面をスケッチしたり、絵手紙を描ける人って本当に、無条件にあこがれます。旅用の小さなスケッチブックや、色鉛筆や水溶き絵の具のセットを持って旅に出ることにもあこがれるけれど、結局実現したことはありません。

この本の作者、おおのきよみさんはそんな私にとっては夢みたいな人。 皆さんの中にも「旅の指差し会話帳」シリーズにお世話になったことのある人は多いのでは?おおのさんは、その指差し会話帳のベトナム編や台湾編の挿絵を描いている人なんです。そのおおのさんが、大好きなアジアを旅しながら、「家に戻ってからもこの気分を味わいたい!」という思いで、色々な旅先のお土産を買って帰ります。それがいわゆるお土産っぽいものでなく、調味料であったり、石鹸であったり、果てはバリで買った天蓋ベット用の布や台湾のほうきまで!でも、机の上に飾っておくだけのものより、日常使いながら手にとって何度も見ることのできるものにこそ、愛着がわいてくるものですよね。

この本を読んでいると、自分までいろんな国を旅したような気分になれちゃいます。もちろん、これから旅行の予定がある人にとっては、いいお土産指南のヒントをくれるはず。そして、本の中のコラムやコメントもアジアへの愛がたっぷりで読んでいてとっても幸せな気分になれる。それから、おおのさんがアジアを旅するようになってからこれまでに描きためた数々のスケッチブックの中身も紹介されていて、「絵のセンスゼロ」の私にとってはそれこそためいきものです…立ち読みするだけでも楽しくなれるので、一度本屋で手にとってみてくださいね!
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by cita_cita | 2006-10-26 22:01 | 読書

「藍の空、雪の島」 謝孝浩

e0066369_2132181.jpgこの本は、事実をもとにした、物語といってもいいかもしれません。以前紹介した「スピティの谷へ」の著者である謝孝浩さんが日本で、それもたまたま乗った電車の中で知り合ったワンディという少年をモデルにした作品です。2002年に出版した「カンボジアからやってきたワンディ」は、このワンディをモデルに描いたドキュメンタリー、ノンフィクションの作品でした。この「藍の空、雪の島」という本は、ワンディの体験を、ノンフィクションという制限に縛られず、想像の部分も交えて書かれた小説なのです。

ワンディはカンボジア生まれ。8歳のあの日まではプノンペンで両親や兄弟と幸せに暮らしていました。あの日、黒い服の人達がやってきて、プノンペンは危険だから数日間だけ町を出て村に行くように言われます。でも、ワンディ一家はプノンペンに戻れませんでした。最初は強そうでかっこよく見えた黒い服の人達はポルポト派の兵士たちだったのです。黒服は「町に住んでいた人はみんな悪い人たちで、村に住んでいい人になる必要がある」といい、ワンディたちは放浪生活を余儀なくされ、炎天下の乾季のカンボジアの乾ききってひび割れた道を歩き続け、のどが渇くと多くの人が群がる水溜りで水を飲みました。そんな日々の中で、ワンディの幼い弟はかわいいプクプクのほっぺたの面影もなくなり、衰弱して死んでしまいます。そしてやっとある村にたどり着いたワンディたちにポルポトは過酷な強制労働を命令します。

強制労働と極貧生活だけでなく、ポルポトの暴力におびえながら暮らす毎日。少しでも逆らったり、働きが悪かったりすると気を失うまで棒で殴られる恐怖。そんな中でもワンディは自分を助けてくれる友達ラドゥーを見つけ、過酷な状況の中でたくましく生きていきます。そして、この村ではある日突然、人が消えることも珍しくありませんでした。その人達が戻ってくることもなく、どこに行ったのかも誰も知りません。ワンディの長屋の隣に住んでいたおじさんも、ケガをしていた村人を手当てしたことが原因で、「お前はプノンペンじゃ炭売りだったというが、本当は医者なんだろう」と怒鳴り込んできたポルポトに半殺しにされ、そのままどこかに連れ去られてしまったのです。そんなある日、ワンディたち子供の中から「優秀な者は学校に行かせてやる」と選ばれた数名がワンディの村を去ります。その中にワンディの親友ラドゥーも混じっていました。あとで分かった話では、彼らは学校ではなく、黒服の仲間になるための特訓を受けさせられたのだワンディは風の噂に聞きます。

そんなどん底の状況の中、あるとき緑の服を着た人達がやってきて、黒服たちを追い払い、ワンディを救ってくれました。緑の服の人達は、ベトナムから来た兵隊だとのことでした。3年半ぶりにプノンペンに帰ったワンディ一家は、もはやそこには自分たちが生活していける場は何もなくなっていることに気付きます。ここにいれば、またいつ黒服がやってくるかもしれないと考え、ワンディの父は緑の服の人達の国、ベトナムに逃げることを決めます。逃亡を手伝ってくれるガイドが数百メートルほど進んでは、安全を確認し、懐中電灯を点滅させます。ワンディ一家はそれを見てガイドに追いつきます。そんなことを気が変になるほど繰り返し、ついにベトナムにたどり着きます。言葉の分からないベトナムでの生活、そしていつしかワンディたちは夢を求めて「イープン」(日本)を目指すように…お父さんはこういいます。「ワンディ、イープンはいいところだぞ。食べ物も着るものもいっぱいで、誰も飢えたりしていないんだ。争いも無く、住んでいる人たちも優しい人ばかりだぞ」。でも、イープンに行くためには、あのプノンペンを超え、バンコクからイープンを目指さなくてはいけません。その最中にも家族が離ればなれになったりようやく再会できて…そしてタイでも難民キャンプでの生活が待っていました。ワンディには次から次へと試練が待ち受けています。でも文章は淡々と続いていくので、悲惨さは少ないかもしれません。そういう意味では、他のカンボジア難民に関する本を読むのが苦手な人にもとっつきやすいかも。

そして、ワンディ一家が最後にたどり着いた、夢にまでみた国、イープン。果たして、「雪の島」イープンではワンディが夢見たような暮らしが待っていたのでしょうか…?
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by cita_cita | 2006-10-23 23:22 | 読書