「チェ 39歳 別れの手紙」キューバ革命を成し遂げ、英雄となったチェ・ゲバラは、ある夜家族と最後の食事をすませ、忽然と姿を消します。変装姿と偽造パスポートによりボリビアに潜入し、この国の貧しい農民を救うべく、ひそかに準備を始めるのです。 しかしキューバの時と違い、チェの必死の努力にもかかわらず行程は難航します。ボリビアの共産党の協力も得られず、農民たちは外国人であるチェの語る革命の理想を受け入れようとせず、現地で結成されたゲリラ部隊もキューバで共に戦った「同志」とは違い、そこまでの結束力と信念に欠ける。そして、持病の喘息の発作はますます酷くなり、その薬も持ち出せないまま山の中をさまよい歩く日々。 キューバ革命の失敗を二度と繰り返したくないアメリカは、国をあげてボリビア政府と協力して彼らを追い詰め、チェはやむなく数少ないゲリラ兵たちを分割して別行動することになります。何もできないまま、仲間の無残な死をラジオを通して聞くしかないチェたち。ある日また爆撃機の音が聞こえ、応戦しようとしますが、ひとり、またひとりと仲間を失って行きます。そしてついにチェは捉えられ、拘束された後、そのままあっけなく銃殺されてしまいます。 敵の大佐が「お前がジャングルで迷走しているときに、今頃フィデル(カストロ)はハバナで優雅にランチだ。」と死を目前にしたチェをあざ笑います。それに対して「私の失敗によって、ボリビア人は気付くかもしれない。」と答えるチェ。 見終わってから、なんとも息苦しい気持ちになりました。チェが死んだことか、それとも革命が失敗したことなのか、チェの遺体を運ぶヘリコプターをただ見つめるボリビア人たちの無表情な目なのか、森や川の中で命を失った多くの革命戦士の姿か、ハバナにいるカストロとの対比なのか…何がこの息苦しさの原因かは分かりませんでした。 キューバとボリビアは何が違ったのでしょう。チェの思いは同じだったはず。しかし、ボリビアではカストロをはじめとする真の心の同志はなく、アメリカの警戒心もキューバ革命以前とは比べ物にならぬほど強く、チェの体調も悪く、そしてボリビアの農民や鉱夫たちはチェの理想を理解し、革命に突き進むための希望を抱くには、あまりにも貧しすぎたのかもしれません。 この映画では脇役のように登場するアメリカ。 先日、このブログでもキング牧師やオバマ大統領のことを取り上げました。沖縄戦についても過去に何度か書いたことがあります。また、私は20代前半に1年だけアメリカのシアトルに住んでいたことがあります。たくさんの出会いがあり、今でも大好きな人がたくさん住んでいる国です。キング牧師のようなすばらしい人物を生み、彼に従い黒人白人一体となった大行進を行うそんなポジティブなパワーをもつ国であると同時に、ネガティブな面もたくさん私たちは見てきました。そしてこの映画を作ったのも(スウェーデン系)アメリカ人であるスティーブン・ソダーバーグ監督。よく知っているようで、私には決してとらえきることのできない国。 でも、どの国もそうなのかもしれませんね。だって、日本のことでさえ、私は分かっているとは言い切れないんですから…。
by cita_cita
| 2009-02-20 22:52
| 映画
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