初冬の仙台・山形紀行 その4

蔵王での宿は峩々温泉というところにしました。松島に案内してくれたYさんが教えてくれたのですが、それまではまったく聞いたことがない名前でした。峩々は「がが」と読むのですが、山や岩がとっても険しく荒々しいという意味なのだそうです。その名前の通り、峩々温泉は蔵王の遠刈田温泉や青根温泉からさらに20分車で山奥に進んだその先に、たった1軒だけ山肌にへばりつくように建っています。うーん、まさに秘湯という感じ。実際、「日本秘湯を守る会」の会員宿なのです。

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これは宿のサイトから。こんな感じで、温泉街を散歩するというタイプの宿ではなく、宿にこもってお風呂に入り、体と心を休めるという宿です。私が行ったときにはもう周りに雪が積もっていましたが、紅葉の時にはそれはもうすばらしい景色だそう。見たい!という人はぜひこちらの写真をどうぞ!

明治のはじめから130年以上続く宿で、今のご主人で6代目だそうです。初代のご主人は勝海舟とも交流があったとか。そう聞くとますます歴史を感じますね。実際、全く知らなかったのは私が関西人だからみたいで、仙台市内で飲んでいるときなど、「明日は峩々温泉に行く」というと話した人たちは全員その名前を知っていて「すごくいいらしいですよ!」とか「一度行きたいのだけど予約が取れなくて」というコメントをもらい、うれしくなりました。

ここのお湯は胃腸に効く名湯として知られているそうで、お風呂の入り方にも特徴があります。まず、温泉のお湯を飲むこと(飲泉)、そしてもちろんお湯に浸かること(入浴)とお湯を掛けること(かけ湯)の3点セットなのだそうです。宿に着くと、まずそれを丁寧に説明くださって、お湯を1杯いただきました。これは空腹時に1日1~3杯ほど飲むといいのだそうです。温泉のお湯を飲むのは初めてでしたが思ったよりくせがなく、やわらかい感じの口当たりでした。ロビーには蛇口が2つ備え付けてあり、1つは温泉が、もう1つは蔵王の岩清水が出くるようになっていて、自由に飲むことができます。

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これがロビーにあるパブリックスペース。こんな感じのイスもあれば、暖炉の前に座れる席や、大きなテーブル、小上がりになった畳のコーナーもあり、たくさん本が並んだライブラリーもあります。ここがすごく居心地が良いのです。チェックインもフロントカウンターではなく、ここで行います。温泉宿というと、みんなお風呂と食事の時間以外は部屋にこもりがちになるのですが、このスペースに出てきてゆったりした時間をすごしてもらいたいというご主人の気持ちが反映された素敵な場所です。夕食後のデザートや、朝食の後のコーヒー(蔵王の岩清水で入れてくれておいしいのです!)もこの場所で提供されます。
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肝心の温泉はさすがに写真に取れなかったので宿のホームページから拝借。お風呂は「ぬる湯」と「あつ湯」の2種類の浴槽があります。ぬる湯に浸かり、あつ湯の方は入浴するのではなく、頭の下に木枕を敷いて浴槽の周りに横になり、脇に置かれてある竹筒に熱めのお湯を汲んではお腹や自分が不調を感じる部分に掛けてやります。これをゆっくりと100回繰り返すというのが峩々温泉お勧めの入り方なのだそうです。最初は100回も!と思ったのですが、これがハマるんです。私はお湯をちょっと熱く感じたので、体の上にタオルを広げて、その上からお湯を掛けたのですが、そうするとお湯を含んだタオルがホカホカと温度を保って、体をじんわり温めてくれるんです。私はもともと湯あたりしやすいほうなので、温泉宿に泊まっても朝晩1回ずつしか入浴できないのですが、ここでは夕食・朝食の前後、合計4回も温泉を楽しみました。

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お風呂は新館に男女別大浴場が1つずつ、貸切露天が1つ、混浴露天が1つ(これは途中の道が雪で埋まってしまい入れませんでした)、旧館に男女別のお風呂が屋内と露天と2箇所ずつあります。これは旧館の女性用の露天風呂です。朝食後、チェックインまでの余韻を惜しみつつ入りました。

宿に到着したのが夕方5時過ぎだったので晩御飯も遅めに設定してくれて7時半にスタート。宿泊客は、部屋食ではなく1Fのレストランに集まって食事を頂きます。この日のメニューは以下の通り。

<前菜その1>
あけびの黒胡麻和え、いちぢくの甘露煮、きのこの白和え、山うどのごま和え、ささぎの白胡麻和え、鮭のきぬた巻き、二十日大根
<前菜その2>
鮎の甘露煮、ごま豆腐、もって菊の白和え、太刀魚のアスパラ巻き、栗羊羹、りんごのワイン煮
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<揚げ物>
白身魚と栗おこわのてんぷら(岩塩を添えて)
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<椀物>
白石うーめん
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<刺身>
石巻・塩釜港直送の鮮魚
<酢の物>
いわしの南蛮漬け
<蒸し物>
豆乳・枝豆蒸し(蔵王町)
<ご飯・汁>
ひとめぼれ(柴田町)、芋煮汁(川崎町) 山形のいも煮は牛肉にしょうゆ風味ですが、宮城のは豚肉にみそ風味なのです。
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品目は盛りだくさんですが、少しずつ出てくるのでどれもとってもおいしくいただけます。良いものを適量で提供したいということで、「料理を出しすぎない」をモットーにしているそうです。その代わり、少量しか仕入れられないものを別注で限定販売してくださいます。

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私は、峩々温泉が経営する姉妹店「ベルツ」自慢の自家製ソーセージをいただきました。国際コンクールで金賞を取ったというソーセージが注文してから焼きたてで出てきたのですが、本当においしくて感激しました。

峩々温泉は、お湯も、お宿の雰囲気もロケーションもお料理も最高だったのですが、ほかにもうひとつ、宿のスタッフの方のサービスや空気感がすばらしかったです。宿全体で、スタッフは10名しかおられないそうで、レストランでお料理を作ってくださる方が翌朝の送迎車を運転してくださったり、とにかく全員で協力して作り上げている暖かい雰囲気が最高なのです。この雰囲気を守るため、温泉宿にとっては収入源となるはずの宴会の団体客などは完全にシャットアウトしているそうです。おかげで1人で滞在したにも関わらず本当に心からリラックスできていい時間をすごすことができました。京都からはとても遠くて行きにくい場所にある宿ですが、ぜひもう一度、誰かを誘って行ってみたいと思わせられる宿でした。

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おまけ。ロビー横のトイレに飾ってあったもの、なんだか分かりますか?松ぼっくりをリスがかじった残りなのだそう。「森のエビフライ」とタイトルが付いていました。
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by cita_cita | 2008-12-01 22:24 |
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