「earth」

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映画「earth」を見に行ってきました。見る前は環境保護映画っぽいのかなーと思ったのですが「私たちの地球を守ろう」的なメッセージは極力排除されていて(一番最後に出てきます)メッセージ色はあまり強くありません。そのことに関して賛否両論あるようですが、とにかく映像が圧倒的に美しく、それを見るだけでも価値はあると思います。制作に5年、撮影日数のべ4500日、ロケ地は全世界200ヶ所以上という映像に、ベルリンフィルオーケストラのBGMが重なります。一体どうやって撮影したのだろうと思うような目を見張るような映像がたびたび登場しました。私が見に行ったのは渡辺謙がナレーションを吹き替えしたバージョンだったのですが、この映画に限っては、オリジナル版より吹き替え版がお勧めです。映像に引き込まれていると、字幕を見ているちょっとした時間ももったいないからです。

50億年前、地球に巨大隕石が衝突して、地軸が太陽に対してきっかり23.5°傾いてしまったことが現在の地球に多様な気候や地形、そして生命を生み出したというナレーションで始まります。そして、その地軸のてっぺんである北極から出発し、ツンドラ、タイガ、亜熱帯、そして赤道を通過し、さらに南下を続け、最後に南極に到達するまでの壮大な映像の旅。案内してくれるのは地球上のさまざまな動物たち(この映画、人間はひとりも出てきません)。この映画を見て感動するのか、驚きを感じるのか、考えさせられるのか、それは基本的に見た人に委ねられています。

私の場合、まず単純に映像の美しさに目を奪われました。また、これを撮影したクルーに感服しました。そして、動物・植物含めたすべての自然に秘められた力に驚嘆しました。最後に、これが永遠の営みではなくなるかもしれないという事実を改めてリアルに実感しました。(ちょっと「不都合な真実」を見たときの感覚を思い出しました)

ここからは、それぞれの場面に対する印象をとりとめもなく書いてみたいと思います。

アフリカゾウの群れが水を求めて砂漠を数週間かけて数百キロ移動し続けます。これがもうとにかく苛酷。最終目的地のオカバンゴには、通常水は全くありません。雨季になったときだけ洪水のようになり、水があふれてオアシスのようになるのです。大人のゾウでさえ飢えと乾きで消耗しているので子供のゾウはもうフラフラ…。途中見つけた小さな水溜りで乾きを癒すのですが、そこには同じく水を求めて飢えたライオンの群れも。子ゾウをライオンからしっかりガードするため協力する大人のゾウたち。ライオンは作戦変更、ついに数十頭で1匹のゾウに襲い掛かります。ライオンがもうしつこくてしつこくて…。でも飢えで追い詰められているのはライオンも同じ…。昔、インドとアフリカのゾウだとインドゾウのほうが従順でおとなしいって聞いたから、なんとなくインドゾウのほうに好印象を持っていた私。でも、あの映像みたら「そら、あんな苛酷な環境にいたら気ぃも荒くなるわ!」と納得。そして、ついに緑のオアシスにたどり着いたゾウの喜びようといったら…。巨体をものともせず水の中で犬かき(そう見えた!)をするゾウたち。「あーよかった、よかったねー!」と涙出そうになりました。

オシドリのヒナが生後初めて巣から飛び立つ(というか飛び降りる!)瞬間も最高でした。羽をパタパタするんだけど、羽のサイズも小さいし、全く役に立ってなくてそのままヒューッ、ボトンって地面に落ちちゃいます。それでも何食わぬ顔で親のあとをチョコチョコついていく様子が…たまりません。

渡り鳥が、厳しい冬の迫るモンゴルから暖かいインドを目指し、ヒマラヤ山脈を越えるために果敢に世界最高峰(のさらに上空)に挑戦する場面。日が昇ってから、刻一刻と変わる山の気候。上昇気流に乗ってぐんぐん上るものの、午後にはものすごい乱気流が吹き荒れて規則正しく並んでいた群れがグチャグチャに乱されます。山頂近くで数日かけて命がけで山を越えて、さらにインドに向かいます。

ゴクラクチョウが求愛の踊りを踊るとき、その舞台となる地面や枝をキレイに整えている姿がめちゃくちゃユーモラスでした。それにしてもオスの姿の鮮やかさといったら本当にすっごい。人の手で作られたものでなく、自然のデザインとしてあの色合いが存在することが本当に驚きです。

チーターがインパラを捕まえるシーン。本来なら残酷に見えてしまう場面ですが、世界に数台しかないスーパースローカメラによる見たこともないような映像。カーブで体を斜めにしながら走るチーターの筋肉の動きがはっきり見えて、なんだか芸術作品を見ているようでした。

ザトウクジラは敵が少なく環境のいい赤道近くて子育てした後、親子でえさを求めて赤道から南極までなんと6000kmも旅をします。そして短い春を迎え、氷の溶け出した南極に到達するとおなかいっぱいにオキアミを食べて、また再び赤道へと戻っていくのです。これを見て「うわー! 何もそこまでせんでも、(インパラやったら無理やけど)オキアミぐらい私が食べさしてあげるやん!」ともどかしくなりましたが、これが自然の摂理なんですよね。

途中、ホオジロザメがオットセイに喰らいつきながら水中から跳びだし、海面高々と身をくねらせながらジャンプする姿には本当にびびりました。まさにジョーズ。っていうか、ジョーズよりすごかった…。怖すぎ。

そして映画の終盤。オープニングで北極の雪の中から登場したホッキョクグマ。温暖化のため氷が溶けるスピードに対応できず、えさになかなかありつけません。やっとの思いで見つけたセイウチの群れ。通常なら、ホッキョクグマがセイウチのように大きな獲物を狙うことはほとんどないそうです。でも、体重が半分になるほど飢えて追い詰められたホッキョクグマには選択肢はありません。鋭い牙を持つセイウチの群れに向かっていきます…。そして、イチかバチかの賭けに負け、瀕死の状態となったホッキョクグマ。セイウチにとっても、もはや恐れるべき存在ではありません。セイウチの大群を横目に見ながら、ついに力尽きるホッキョクグマ…。うわーん、旭山動物園でホッキョクグマ見てきたばかりだからこのシーンは本当につらかったです…。

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これは旭山動物園のクマさん。おなかいっぱいになったのか、ウトウト眠っていました。

それにしても人間(私)って都合がいいよなーって思ったことがあります。というのは、ゾウがライオンに襲われるシーンや、トナカイがオオカミに襲われるシーンは「うわー!逃げろ!逃げてくれ!」と思ったくせに、映画の最初からずーっとホッキョクグマを長く見ていたものだから、ホッキョクグマがセイウチを捕まえられず焦っているいるシーンを見て「(セイウチが)こんなにたくさんいるんやから、一匹ぐらいええやん!」って思ってしまった。要するに、どっち側の視点で見るかで何もかも違ってくるってことですよね…。

乾ききったアフリカの砂漠やほとんど生命の存在しない雪のタイガのような過酷な環境の中、水や食べ物を求めて何百キロ、何千キロも移動し続ける動物たちを見ると、「そんなところに住まなくてもここならもっと水がいっぱいあるのに!」「ここだったら食べ物に困らないのに!」と思うのだけど、彼らがあえてそこに住むには、ちゃんと理由があるのですよね。

ただ生きるためだけに水やえさを求めてボロボロになりながらもひたすら歩き続け、生きるために必要な分だけの獲物を捕らえ、食べ、そうやってようやく命をつないでいる動物たちの姿を見て深く深ーく感じさせられるものがありました。でも唯一例外が。チンパンジーがもう口いっぱいになっているのに、まだ木の実をつかんで口に詰め込み続けるシーンがあったのですが…これって、人間の姿と重なるのは私だけでしょうか?
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by cita_cita | 2008-01-22 19:13 | 映画
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