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美瑛の宿「とぅもろう」

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今回の宿は、美瑛の丘の真ん中にある無人駅、美馬牛(びばうし)駅近くのペンション、「とぅもろう」にお世話になりました。この宿は「バリアフリーの宿 出会いの郷」ということで、車椅子の人でも滞在しやすい工夫がたくさん施されています。例えば駐車場から玄関に通じるスロープ、段差の無い造り、車椅子対応のトイレやお風呂、洗面所。そして何より、車椅子でも気兼ねなく滞在できるよう、宿の方のさりげない心遣いが本当に心地よかったです。このさりげないというのがとても大切で、何でもかんでも特別扱いするのではなく、車椅子であってもできる部分は他のお客様と同じように扱っていただけることが居心地の良さを生んでいるのだと思います。例えば、食事の場所も、時間も、内容も、基本的には全部同じ。部屋のつくりも同じ。障害者専用の、というよりも障害者でも利用できるという考え方です。でも、普通の食器が使いにくい人にはストローやユニバーサルデザインの食器なども準備してくださっています。

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おそらく実際には、これまでバリアフリーの宿として14年間やってこられた中での経験を生かして、色々な面で細かい配慮をされているに違いないのです。でも決して大げさでなく、さりげなく気遣っていただけるので、宿泊する側としても余計な気を遣いすぎることなく過ごすことができ、それが本当に快適なのです。今話題になっている「がばいばあちゃん」の話の中で、「人に気づかれないのが、本当のやさしさ、本当の親切。」というばあちゃんの言葉がありますが、とぅもろうに滞在していてその言葉を思い出しました。こちらが車椅子だからということで、相手が苦労していたり気を遣っているのがあまりにも分かりすぎてしまうと、ここに泊まることで宿の人に面倒をかけているようで、なんだか悪いような気がしてしまうものです。でもとぅもろうにはそんな気兼ねを感じさせないような心遣いがいっぱいあるような気がしました。

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バリアフリーの面に関してばかり言及してしまいましたが、もちろんこの宿の魅力は他にもいっぱいあります。まず、そのロケーションのよさ。美馬牛駅から徒歩2分の場所にあるのが信じられないほど自然いっぱいで静かな環境です。宿のリビングや部屋の窓からは広大な庭が見渡せます。お隣の農園の畑との境界にも大きな柵などはないので、どこまでも広がりのある美しい風景が楽しめます。その時々の花や、木にしつらえたえさ場にやってくるリスの姿を、そして夜には満点の星空を観察することもできるんです。私たちが滞在した夜はちょうどペルセウス座流星群が観察できる日に当たり、宿の前で30分ほど空を見上げているといくつもの流れ星を見つけることができました。星空をずっと見上げていられるように、庭にデッキチェアー(プールサイドにあるみたいなの)が並べられていたり、宿泊客に美瑛での時間を楽しんでもらおうという宿の方の思いがあちこちで感じられるのです。

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部屋はシンプルなつくりでベッドが2つ。そして窓の外は緑がいっぱい。宿にはテレビはありません。テレビのない時間を楽しんで欲しいというご主人の思いからです。

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窓の外にはこんな景色が広がります。冬には真っ白な雪景色に。

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庭のえさ場にエゾリスのこどもがやってきました!えさはひまわりの種です。

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お願いすれば、奥様の趣味であるドライフラワーを使ったリース作りを体験させてもらえます。同じ日に宿泊していた子供たちが体験していたのを見て、私も一緒にとお願いしました。ミニサイズのリースの土台に自分の好みで選んだドライフラワーを少しずつ接着剤で付けていきます。工作みたいでおもしろかった!

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これが出来上がったリースです。

そしてロケーションに負けないぐらいの魅力がもうひとつ。それは朝晩のおいしいごはん。地元の素材をたっぷり使ったメニューが毎日ずらりとテーブルに並ぶと思わず「おいしそう!」と歓声をあげてしまいます。とぅもろうの畑で収穫された野菜や近隣の農家で育てられた味の濃い、おいしい野菜がたっぷりで、しかもそのおいしさが最高に生かされるように考えられた献立。食事は宿泊客全員で、食堂に集まって食べます。その時に、宿のご主人がそれぞれのお客さんを紹介してくれます。「こちらは宮崎、こちらは浜松、そしてこちらはシンガポールからのお客さんです」という風に。それがきっかけで、みんな自然に打ち解けて「今日はどこに行かれたんですか?」なんて話が盛り上がっていって、まるで沖縄で民宿に泊まってゆんたくしているような雰囲気が最高でした。

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初日の夕食。黒米ごはん、みそ汁、鶏肉と自家製ソーセージと豆の煮込み、手作りがんも、じゃがいものヴィシソワーズ、大根と豚肉と小松菜の煮物、きゅうりと長ねぎの中華風和え物、トマトとイカのマリネ、デザート、コーヒー。みそ汁のみそは自家製、具は「なすがいっぱい取れたので」と取れたてのなすがたっぷり。トマトの出来もいいらしく、すごく味がしっかりしておいしい。

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ソーセージも自家製。ちょっと粗挽きでうまみがぎゅーっと詰まっています。

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デザートは知り合いだという金太郎農園さんで取れたメロンと自家製のヨーグルトアイスに奥様手作りのハスカップジャムをのせて。アイスの甘さがひかえめですごくさっぱりしていたので作りかたをきいたら、甘みには普通の砂糖ではなくてんさい糖(ビートから取れる砂糖)を使っているそう。

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2日目の夕食。黒米ごはん、みそ汁、美瑛産北あかりのコロッケ、エビと豆腐の煮物、トマトとなすと豆のグラタン、大根とイカと昆布の煮物、長いもかんの梅肉のせ、豆腐サラダ、デザート、コーヒー

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毎日出てくるふわふわの豆腐もおいしい(自家製なのかな?確認しそびれました)のですがこの日は暖かい豆腐にエビと長ネギで作った中華風のあんがかかっていて、豆腐サラダとはまた違った味わいでした。

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トマトとなすがたくさん取れるので作ってみました、と出てきたグラタン。ミートソースが肉ばかりではなく豆たっぷりだったのでおなかもちも良く、豆好きの私にはたまりません。ちなみに豆も美瑛の特産物のひとつです。

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朝ごはんはこんな感じ。ごはん、味噌汁、カボチャのオムレツ、いも団子のバター焼き、冷奴のトマトオクラのせ、きゅうりとわかめの酢の物、黒豆の煮物、コーヒー

私達が行った夏の美瑛からは想像もできませんが、冬には一面の銀世界に姿を変え、マイナス20度になることもあるそうです。夏にはお休みしていたリビングの暖炉に火が入るので、棚にたくさん並べられた本を読みながらゆったりと過ごすのもよさそうだし、天候がよければスキーを履いてクロスカントリーなども楽しめるそう。今度は雪の美瑛を見てみたいです。

とぅもろうのホームページへはこちらから。フォト日記には美瑛の四季の様々な表情がたっぷり詰まっています。
by cita_cita | 2007-08-21 00:22 |
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