沖縄やんばる旅2006 その4

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沖縄3日目、最終日です。この日の帰りの飛行機は18:25発なので、時間的には結構余
裕があります。今帰仁を早めに出発し、行ったことの無いコザや北谷を訪れてみようかとも思ったのですが、この日は月曜日。その辺りに行くなら賑やかな週末の方がいいという話も聞いたので、今回は今帰仁周辺で午後までゆっくりしてそのまま那覇に戻ることにしました。

朝起きるとなんと結家の主である結ねぇが帰ってきていました。早朝5時に戻ってきたそう。出発するまでに念願の結ねぇに会えてカンゲキ!結ねぇは思っていたよりずっと小柄で若くて、とても女一人でこの宿を切り盛りしている人とは信じられないほど。すっごく明るくて表情がコロコロ変わって、いるだけで安心できるようなステキな女性です。以前から結家に泊まってみたかったこと、この宿の居心地の良さに感激したことなど、短い時間でしたがお話させてもらいました。

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結家の前で結ねぇと。また遊びにきます!

朝ごはんを食べてまだ日差しが強くなる前、人が少ない時間に今帰仁城跡を見ようと9時前に車で出発。結家から今帰仁城跡までは車でわずか5分の距離です。案の定、駐車場にもまだ車は少なく人もまばらです。入り口で切符を買って中に入ろうとすると「無料ガイド」のお知らせが目に入りました。ふと興味を引かれて受付の女性に尋ねると所要時間は40分ほどで、1人からでも案内してくれるとのこと。せっかくここまで来たのだし、時間もまだまだたっぷりあるので案内してもらうことにしました。私は歴史は大好きだけれど、戦前戦後はともかく、沖縄の中世の歴史については全くといっていいほど知識がなかったので、きっと案内があったほうがより城跡を身近に感じられると思ったのです。今考えてみれば、この時この選択をした自分の直感を褒めてやりたい気分です…。

私を案内してくださることになったのは、仲嶺さんという方。今帰仁村にお住まいで、地元で今帰仁城跡のボランティアガイドをされています。「ガイドを頼まれるということは歴史はお好きなのですね?」と聞かれたので「いえ、実は沖縄の歴史についてはほとんど知らないのでぜひ詳しいガイドさんに案内いただきたいと思ってお願いしました」と正直に答えました。今帰仁城は、今は建物はなく城郭しか残っていませんが、ちょっと万里の長城を思わせるような雄大な場所です。高台にあって、後方にははるか遠く続く海が広がっています。沖縄全体が3つの小国家(北山・中山・南山)に分かれていた13世紀末ごろから14世紀にかけての築城で、15世紀に中山の王によって滅ぼされたそうです。これぐらいの説明なら、ガイドブックを読んでも分かるのですが、仲嶺さんのガイドはどんな本にも載っていないような説明で、非常に興味深く、思わず色々と質問攻めにしてしまいました。

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入り口手前の参道には立派な階段があるのですが、それは築城当時は無く、後になって地元の人達が参道(最初は階段でなく坂道だったそう)を新たに作ったそうです。ところが第2次世界大戦のさなか、この地域にも米軍が大挙して押し寄せてきて、石でできたこの参道を戦車で進むための通路として活用し始めたのだそうです。それに驚いた今帰仁の住民は慌ててその参道を階段に作り変えて人間以外は通れないようにしたのだそうです。でも、その結果今帰仁城跡は現在の形で残されたのかもしれませんね。沖縄戦というとどうしても南部戦跡を訪れた時の印象が強く、北部の被害はどのようなものだったのかイメージできなかったのですが、仲嶺さんによると沖縄全土、どこも被害の無いところはなかったそうです。確かに戦況が進むに連れ、戦線が南下していったので、南部は最後まで激戦地となり多数の犠牲者や集団自決などが発生しましたが、もちろんこの北部にも大量の米軍がやってきて大きな被害が出たそうです。すぐ近くにある伊江島に日本軍の飛行場があったため、米軍の攻撃のターゲットとなり、一面焼け野原になって、このあたりも地形が変わるほどの砲撃にあいました。今でも伊江島には米軍の演習場があります。沖縄ではどこを歩いても戦争と無縁の場所はないということを改めて感じました。一方、昨日訪れたやんばるの森が自然のまま残っているのは米軍の管理地が多いため開発が遅れたせいだとも聞きましたが、それも皮肉な話ですね…。

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城郭の内側に入ると、内部は様々なスペースに分かれています。高さもまちまちで、広い敷地の中にかつてはたくさんの建物が立てられていたのが分かります。その中には、拝みのための場所、集会や儀式のための場所、女官たちの生活の場などがありました。今帰仁城の城郭の特徴としては、その強固な石組みがあります。首里城をはじめとする沖縄の他の城と違う石灰岩がこの城には使われています。前者は比較的柔らかく、加工しやすいため、石を積み上げるときにも組みやすい形に削って形を整え、積むことができるそうです。ところが、この今帰仁城に使われている石灰岩は非常に硬く、石切り場から運んできても、最初からぴったりあうサイズがない場合は金づちのようなもので割り砕いて、少しずつ合う形を探して少しずつ組み上げたそうです。もちろん砂やセメントのようなつなぎは何一つ使われておらず、それが14世紀から台風や戦火にも耐え、ほとんど崩れないままに残っていることは奇跡的です。その理由を仲嶺さんに尋ねてみましたが、やはり技術以外の何ものでもないだろうとのことでした。調べてみると、非常に高度な技術で石の力のバランスが保てるように石が組み合わされているそうです。14世紀当時、沖縄は既に中国や韓国と活発な交易があったため、日本より進んだ建築技術を持っていたそれらの国から技術を学ぶ機会が多かったのでしょう。

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御内原(うーちばる)と呼ばれる女官たちのための奥座敷にあたる場所が一番の高台で、素晴らしい展望が望めます。ここに立っているとき、仲嶺さんが海の方を指差し、面白いことを教えてくれました。海岸線から沖の方を見ると、白く波が立っているラインがあります。それは長く横に広がっているのですが、そこにサンゴ礁があるのだそうです。そこで海の流れが変わるため波がぶつかって白く立つのだそうです。ところが2箇所ほどその波が途切れている場所があります。仲嶺さんはあそこが船の入り口だと教えてくれました。そこだけサンゴ礁がないため、波も立たないし、船はそこからだとサンゴを避けて入ってくることができるのだそうです。悲しいことに、戦時中米軍が攻めて来たときにもやっぱりそこを狙って上陸してきたのだそうです。なぜそんな地形になるのかというとちゃんと理由はあって、この場所は今帰仁城跡の近くを流れる志慶真(しげま)川の河口の先にあたり、そこから真水が流れ込むため海水と真水が混じりあってしまい、サンゴは育たないのだそうです。海の近くで生活する人達はみんな当たり前のように生活の中でそれを知っていることをあらためてすごいと感じました。私は近くに海のない地域で育ったので、この歳になるまでそんなことを考えたこともなかったのです。「海人(うみんちゅ)」という言葉が頭をよぎりました。

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約1時間ほどで今帰仁城跡の散策を終え、受付に戻ってきてからも仲嶺さんとの話は尽きず、別れがたくて結局それから30分以上も色々立ち話をしてしまいました。仲嶺さんの話、私の話、お互いに、本当に色々話をしました。仲嶺さんは戦時中9歳で、終戦後に米軍キャンプ内での仕事を経てペルーに移民し、日系ペルー人の奥様とご結構されて生まれ故郷の沖縄に戻ってこられたのだそうです。ボランティアガイドとしても得意の英語やスペイン語を使って沖縄のことを多くの人に伝えたいと、熱心に勉強を続けておられることをお聞きし、本当に心を打たれました。私の思うことにも真剣に耳を傾けてくださり、いいアドバイスもたくさんいただきました。ちょうど9月に新しい業務の担当となり、毎日がただ訳の分からないまま忙しく過ぎていく中で色々思うことが多かったこの時期に、仲嶺さんのような方にお会いできて、本当に神様に感謝したい気持ちでいっぱいになりました。まだまだ話したいことはたくさんあって、時間が過ぎるのが本当に惜しかったのですが、次回は仲嶺さんに会うためにまたこの地を訪れますと約束し、連絡先を交換してお別れの挨拶をしました。

その後、宿で一緒だった幸子ちゃんという名古屋の女の子と合流して一緒に美ら海水族館を訪れました。今回で2回目となるこの水族館ですが、やっぱり行ってよかった!あの巨大水槽。あの元気いっぱいの美しいサンゴと魚達。それを見れるだけでも何度も行く価値のある所です。

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「黒潮の海」という名の大水槽。この前に立つと時間を忘れます…。ここにいる人はみんな笑顔。その中にいるだけで幸せな気持ちになれそう。

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ジンベイのおなか。自分の小ささを感じますねー。

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こっちはマンタ。ダイビングしない人でも見られます!

水族館は2回目だったにもかかわらず、やっぱり結構熱心に見入ってしまい、那覇に向けて出発しないといけない時間がせまってきました。あわてて最後の昼ごはんを食べに、気になっていた店にいくことに。そのお店の名前は「花人逢(かじんほう)」。美ら海水族館から車で10分ほどの山の中にある人気のピザ屋さんです。前からガイドブックなどで名前を知っていたのですが、今回の旅の最中に出会った色んな人から「あの店のピザはおいしい」と聞く機会があり、最後の昼ごはんはここで食べることにしました。

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めずらしい生アセロラジュース。すっごくさわやかで甘酸っぱくておいしい!!また飲みたい!

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これが名物ピザ。小さいほうのサイズ(1~2人用)。大きいのもありますよ。ナポリ風のパリパリのではなく、パン生地っぽくふわふわした感じで、窯で焼いた香ばしさがたまりません。チーズもすっごくおいしかった!!これもまた食べた~い!

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これが花人逢の人気のテラス席。高台にあるので景色は最高です。車の運転さえなけばピザにビールで決まりなんですけどね…笑

名残りを惜しみながらも高速に乗り、一路那覇へ。時間があればどこかに寄り道…と思ったのですが、意外と時間はギリギリで(私はタイムマネジメントが超苦手…)慌ててレンタカーを返却し、そのまま空港へ送ってもらいました。というわけで今回の2泊3日沖縄やんばる旅行は終わりです。今回私の旅をすばらしいものにしてくれたたくさんの人たちに感謝しつつ、また次にやんばるに行ける日を楽しみに仕事に励みます…。
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by cita_cita | 2006-10-05 01:29 | 沖縄
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