台湾おまけ話

台北のMRT(地下鉄)は本当に便利。実際に利用してみるとよく分かります。ソウルの地下鉄ほど広い範囲を網羅しているわけではないけれど観光で滞在する者にとって移動に必要十分な程度の規模で、これとタクシーを併用すれば大抵のところには迷わず行けます。タクシーが安いのもポイント高く、初乗りが70元(約250円)。近距離でも嫌がられることはあまりないので利用価値大です。そして乗ってみて分かる乗換えや各種表示の分かりやすさ。駅構内でどちらに進めばいいか迷うことはほとんどないと思います。それは漢字のお陰もあると思うのですが、表示が大きく路線ごとに色分けされて見やすいこともあると思います。なんとなく駅の表示を気にしながら歩いているだけで、台北到着初日から乗りこなせてしまうと思います。これと同じ感覚で日本の地下鉄に乗ろうとすると絶対外国人は迷うと思う。だって、日本の駅はいらない情報が多いわりに必要な情報が必要な場所に表示されてないし、日本語だけで英語の表記がない場所も多いから。ホームで待っているときも、電車が近づくと足元に埋め込まれたランプが点滅するから、放送が分からなくても誰でも「電車が来るんだ」って理解できる。また、台北の人の地下鉄マナーは非常にいいと思います。電車に乗るときも降りる人優先が徹底していて割り込み乗車も少ないし、駅のエスカレーターでも片側はいつもきっちり空けているし、利用していてとても気持ちがいいです。もちろん日本も世界的に見るとマナーは悪くないと思うけどそれ以上にいいと思うな。

ついでに台北市内歩きに関して言えば、地図を見ると「忠孝東路」「民生西路」「復興南路」など漢字ばかりの通りの名前に最初はひるみますが、慣れてしまえば京都人にとってはかなり分かりやすい。中心部は碁盤の目に並んだ道が交差しているのですが、台北駅付近に中山という南北の通りがあって、それより東が○○東路、西が○○西路、そして忠孝という東西に走る通りの北が○○北路、南が○○南路と呼ばれます。忠孝復興駅は忠孝と復興の通りの交差点、忠孝敦化駅は忠孝と敦化の交差点にある駅です。四条烏丸や四条河原町と同じ感覚ですね。

でも、台湾が旅をしやすい場所である一番の理由は、台湾の人にあると思うのです。
台湾を旅していると、人と接していてその優しさや心遣いにはっとすることが何度もあります。台湾の人の優しさは、押し付けがましくなく、また一生懸命すぎることもなく、まるで空気のような優しさ。バリやタイや韓国で現地の人に熱~いもてなしをしてもらったときのような、心をグッとつかまれるような力強さはないけれど…台湾で出会うのは気持ちがポッと暖かくなるような、胸がすうーっと明るくなるようなとてもとてもここちよい優しさなのです。すごく空気のきれいな場所で深呼吸をしたときのような胸の中がキレイになるような感覚。 例えば地図を見ていると誰かが声をかけてくれる。電車の切符を買うのに躊躇していると目の前でやって見せてくれる。お店でなかなか店員さんが気付いてくれず困っていると「おーい、こっちに注文とりにきてあげて!」とすかさず声を上げてくれる。そういう当たり前だけど、分かってるけど、多くの日本人が自然にできなくなってしまった大切なことがここではきちんと行われているような気がします。

タクシーに乗って猫空に行くとき、間違って手前の駅で降りてタクシーに乗ると運転手さんが「帰りもタクシーか」と聞いてきます。そうだと応えると、今度は中国語と片言の英語で一生懸命何かを言ってきます。何度もやりとりをしてどうやら運転手さんが言いたいのは「この次の駅の方が猫空から近いから、帰りはそこで降りて電車に乗るように。そのほうが安くて早いから。分かったね、動物園の駅で降りるんだよ。」ということが分かりました。それからその駅の前を通ったときにも「これが動物園の駅だ」と指差して示してくれて…。
空港で私がちょっと前かがみになりながら鞄の中を整理していると「小姐!小姐!」という声がします。見ると、お弁当を食べているおばさん4人組が手招きしています。何事かと思いつつ鞄のチャックをしめてそちらに行こうとすると、先におばさんがこちらに来てくれました。そして私の耳元で「你的衣服○○××(あなたの服が…)」と言って自分の襟元をつまんでひらひらさせてる。どうやら私が不用意に前かがみになってたのでちょっと下着が見えていたみたい。大きい声で言うと回りに分かっちゃうから手招きして呼んだのだけど私が行くのが遅かったから、わざわざ向こうから来てくれたんですね。
夜市でカキ氷を食べたとき、繁体字(台湾の難しい漢字)がいっぱい並ぶメニューを見ながら一生懸命自分の食べたいメニューを探し、やっと「あっ、多分あれがそうだ、八寶冰って書いてあるよ」と日本語で話していたとき、やりとりを見ていた前のおじさんがメニューを指差して親指を立ててニコニコ何度もうなずいてくれたのもうれしかった。言葉はなくても「おいしいよ!」という気持ちがそのまま伝わってきました。

台湾の人の距離感っていうのは、ちょうど日本人が一番心地よく感じる距離感なのかもしれません。優しくてよく気が付くのだけど、押し付けでなく控えめでつつましい。自分の気遣いをアピールするためでなく、そうするのが当たり前だからしているという気負いの無さが本当に心地いいのです。

日本はどうかな? 外国の人が日本にやってきて、同じように感じてくれる国であればいいなと思いますが…。旅行をしていて思うのですが、日本って物価も安くないし通信料や交通機関の料金も大多数の旅行者にとっては高いと思うし、ハード面では決して旅行しやすい国とはいえないかもしれない。でも、自分が今まで旅行をしてきた中でその国をどれぐらい好きになるかの決め手って結局「人」なんですよね。日本が他の国に誇れる部分って、安全とか清潔さ(でない部分もあるけど)とか日本文化とか色々あると思うけど、私個人の力で印象を良くできる部分ってやっぱり「人」の面じゃないかな。日本を、京都を旅行してくれる人(日本人も含めて)が、ここに来てよかったなと思えるような接し方をしたいなと思います。

おまけのおまけ。台湾で見つけた色々なもの。

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非常口。トリビアの泉でも取り上げられたので結構知られている話ですが、明らかに日本より「非常」な感じ。ちなみに信号機も赤が近くなると歩行者のイラストが走ります。

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台湾では日本のものが大人気。ファッション誌やマンガも日本のものが色々手に入ります。スーパー(ちなみに超級市場といいます)のお菓子売り場もこの通り。日本製でなくても、パッケージにひらがなやカタカナを入れて日本製っぽくした製品もよく見かけます。

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後ろに見えるのは101ビル。現在、世界一高いビルです。

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台湾でもヨガブーム。ヨガは中国語では「瑜伽」と書くらしいです。淡水の駅構内の看板。
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by cita_cita | 2006-06-30 21:43 |
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