「オキナワ宿の夜はふけて」 カベルナリア吉田

e0066369_1631191.jpgこの本は昨年の9月に竹富島の小浜荘に泊まったとき、中庭のテーブルの上においてあったのを見て知りました。あの時はコンドイビーチに行ったり、泊まっているお客さんたちとゆんたくするのが楽しくてパラパラとしか見られなかったので、図書館で見つけて借りてきました。

著者が沖縄本島とその離島、宮古島、八重山の島々にある宿(リゾートホテルではなく、主に民宿とゲストハウス)を33泊に渡り、次々泊まり歩いた記録を、各宿ごとにまとめた旅行記兼宿紹介の本です。私が泊まった宿では、波照間の勝連荘、竹富の小浜島、そして西表の民宿やまねこが紹介されていました。知っている宿に関しては、そこに登場する宿の家族の様子が目に浮かぶようでとっても懐かしい。特に勝連荘のオジイについて書いてある部分では、まさにその通りの人なのでオジイを思い出しながらニヤニヤしながら読んでしまいました。

勝連のオジイ:(息子と一緒にお客の布団を引きながら)「そっちの端を折るねー」
オジイの息子:そうじゃないって、こっちが先だよ!
オジイ:(客に向かって)枕は硬いのと、柔らかいの、どっち?
息子:そんなのないって!

このやりとりを見るだけでオジイの顔が浮かんできます。私が泊まったときも、お客のうち誰が何泊してるか覚えていなくて、チェックアウトする客に「えーと、あんたは1泊だったかな」と尋ねて「いえ、5泊です」とお客さんが正直に自己申告していましたっけ…4台ある無料の貸し自転車のうち、1台はチェーンが外れてて、1台はブレーキが切れてて、1台はパンクしてて、最後の1台だけは動くけどカゴが外れているという状態で、それもずいぶん前からそのままらしくて、そのテーゲーさ加減に思わず笑ってしまいました。夜、私が「星空観測タワーに行ってみたい」と言うと、息子さんが希望者を募り、5人集まったところで「じゃあ、今日は7時に出発します。みなさん晩御飯を済ませて(勝連は素泊まり宿)7時には必ず戻ってきてください。いいですか、7時ですよ。戻らなかったら置いていきますよー。」とかなり念入りに言われたので、全員ちゃんと7時に集まって、宿の車でタワー周辺へ。夜の波照間の道は集落を外れると真っ暗で、どこを走っているのか見当もつかないほど。真っ暗な道を延々走り、ある地点まで来たところで息子さんがふいに一言。「あれ?何だ?真っ暗だ。あれ、今日は月曜日か。月曜は(タワーは)休みだ!」一同全員「えーっ!」とびっくりしたっけ。

沖縄の宿は、どこもこんな感じでどこかのんびりしているところが多いのだけど、私がこの間話した女の子から聞いた話では、この勝連荘より上を行く宿があるらしい…。それは与那国島の仲たけ荘。30年以上宿をしているそうで、宿を始めたきっかけは昔貧乏旅行の若者が、家の前で野宿をしているのを見て気の毒に思い、家に泊まるようにすすめたけれどみんな遠慮して入らないので、食事や布団を差し入れしている間に宿になったそうな…。なんか、ほほえましい話ですよね。そういえば、波照間のみのる荘に泊まったときも、オバアと喋っていたら同じようなことを話していました。本土復帰前、波照間の生態系や自然に注目した研究者や学者たちが、波照間に長期滞在していたとき泊まるところがなくて、オバアが部屋を提供していたところからみのる荘の歴史は始まったそう。今では島内随一の大きな宿(といっても旅館程度だけど)となったみのる荘にもそんな歴史があったんですね。

で、話は戻って仲たけ荘なんですが、私の友人が泊まるとき、予約の電話を入れても「○月○日?空いてますよー。ではお待ちしていますー」と一方的に電話を切られ、「名前も連絡先も聞かれなかったけど大丈夫か…?」と心配になったそう。無事宿にチェックインして、電話のそばにあった宿帳を見ていると、その日の欄には「女1」とだけ書いてあったそうです(爆) それで宿が回っているのもすごい。また、ある日は飛行機とフェリーの両方が与那国に到着する日で、しかも大学生の団体が乗っていたため、中たけ荘に客があふれた日があったそう。もちろん皆事前に予約は取っているのだけど、オバアはあまり全貌を把握していないらしく、人がいっぱいのところにさらに数人が到着したとき、オバアがボソッと一言「まだ来るかぁ」と驚きの声をもらしたとか…(笑) しかもそこに「今到着しました」という電話が別のお客からあったとき大混乱したオバアは予約客に向かって「あんたら今頃来たって泊まれんさぁー」と言い放ったとか…(笑)直接目撃したわけではないので真偽の程は分かりませんが、その様子を見ていたお客さん同士が自主的に人員整理を開始し、部屋割りをやり直したり知人が泊まっている別の宿に移動したりして何とか全員寝る場所を確保したらしいです。仲たけ荘の紹介をしているホームページで、「仲たけ荘のお客さんにはどんな人が多いですか?」という質問に、オバアが「物好き」と答えていたらしいですが、さもありなん。
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by cita_cita | 2006-05-22 21:18 | 読書
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