「なんくるなく、ない」 よしもとばなな

e0066369_9585769.jpg1 ばななの夏、はじめての沖縄
2 波照間島旅の雑記―友は人生の宝
3 妊婦の旅台風編
4 子づれ石垣日記
5 奄美、鶏飯の日々
6 那覇のせつない一夜
7 もずくちゃん


ばななさんの文庫を本屋で見つけて購入。タイトルの「なんくるなく、ない」がぱあっと目に飛び込んできて…。ほとんどは既出の作品をまとめたもので、最初の「ばななの夏、はじめての沖縄」と最後の「もずくちゃん」(書きおろし)をのぞけば全て既に持っている作品でした。てへへ。でも、「波照間島旅の雑記―友は人生の宝」は私がこれまでに何度読み返したか分からないムック本「本日の、よしもとばなな」の中でも大好きな旅日記だし、あの本に載っていた「ちんぬくじゅうしい」は何度読んでも家族のつながりの強さ、大切さを感じてじんわり涙が出てきてしまう大好きな作品です。(「ちんぬくじゅうしい」はその後「なんくるない」という単行本に収められて出版済みです)ちなみに「ちんぬくじゅうしい」というのは「里芋の炊き込みご飯」のことで、そういう題名の島唄もあります。親子のなにげない生活の一コマを唄ったわらべ唄で、とっても心が温まってほっとする、私の大好きな曲でもあります。

波照間に3回行ってから「波照間島旅の雑記」を改めて読み返してみると、なんだかますます波照間に行きたくてたまらなくなってしまった…。あのニシ浜の浜辺の隅っこにある大きな岩の上に座ってぼんやりしたり本を読んだり写真を撮ったり(信じられないぐらい暑いんだけど…)、浜の前にある小さなあずま屋の屋根の下の石のベンチに寝転んで、顔に帽子を被せて、浜で誰かが練習している三線の音色を聴きながらまどろんだり、パナヌファで大根の入ったさらさらのカレーを食べて休憩したり、星空荘にくっついてる仲底商店でアイスを買って食べたり、汗をだらだらかきつつ自転車に乗って最南端の碑から空港へいってジュース飲んで、そしてまた汗だらだらで集落に戻ってシャワーにかかって部屋でダウンしたり…。そんななんでもないことを次々に思い出して、本当に本当に今すぐに波照間に行きたくなりました…。

3の「妊婦の旅台風編」から6の「那覇のせつない一夜」までは全て公式ウェブサイトYoshimotobanana.comの中の日記として掲載されたものをまとめた文庫本からの収録で、どれも既に読んだものだったのですが、実際ブログ本の中から沖縄に関する部分だけを探し当てて読み返すのは付箋でもつけない限り難しいので、この本は買って正解だったなあと自分で納得している次第です。独身時代、最初の沖縄との出会いから結婚、出産、そして子連れでの沖縄と、人生において自分の環境が変化していく中でのばななさんの沖縄との関わり方、感じ方なども読むことができるし、ばななファンでなくとも沖縄好き、旅好き、そして人間好きな人ならぜひおすすめの一冊です。ばななさんの表現はときどきとっても感覚的、超人的なところがあるので「おや?」と思うこともありますが、逆に「ぴたっ」と来るときなんかはこれぞ『ばなな本』の醍醐味という感じで本当に心地よい。特にこの本は、ばななさんが読者に向けてではなく、旅で出会ったたくさんの人達への思いをなんとか書き留めておきたくて書き連ねたと本人が言うだけに「沖縄への、そして大切な人達への思い」がいっぱい詰まっています。

最後、あとがきの中でとっても心に残る表現がありました。
「使い古された毛布みたいにぼろぼろになっても、消えないもの。他の人から見たらゴミみたいなものでも、自分には大切なもの。たとえ、その本体がなくなっても、それを撮った写真が色あせても、消えないものがある。お墓に持って行けるのは、そういう、すてきな人たちとのすてきな思い出だけです。よき日々を!」
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by cita_cita | 2006-05-10 00:07 | 読書
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