クジラに会う沖縄旅 その2

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今回はじめて、ひめゆりの塔を訪れました。これまで沖縄には本島・離島も含めて何度も来ているのに、いままで一度も行ったことがありませんでした。昨年12月に西表で南風見の浜を訪れて以来、次は必ず南部戦跡を周ろうと考えていました。

ひめゆりの塔は、沖縄師範学校女子部と県立第一高等女学校の女子学生のうち、戦況が厳しくなったのを機に222名の生徒(と18名の教員)が学校を離れ、陸軍病院の手伝いに動因されて、その結果194人が犠牲になった、その場所のうちのひとつに建てられています。実は私もこれまで深い知識がなく、昨年の夏にひめゆり部隊の生存者の一人である宮良ルリさんの著書「私のひめゆり戦記」(ニライ社)を読んだだけでした。

ひめゆりの塔が建立されているのは、第三外科壕という洞窟の跡です。これは実際に陸軍病院があった南風原(はえばる)という場所からずっと南にあります。それは、地上戦で劣勢になった日本軍が、米軍に攻められ前線とともにどんどん南に移動していき、自然の洞窟を利用して身を潜めていたからなのです。しかも、敗戦が濃厚になったある日、軍から「解散命令」が出ます。これは、「壕を出て、これからは自分の考えで行動せよ」という命令です。つまり敵がそこまでやってきている中で、表に放り出され、見殺しにされたのも同然です。実は、ひめゆり部隊の犠牲者の多く(犠牲者194人のうち128人)は、動員からの数ヶ月ではなく、この日からわずか数日の間に発生しました。ひめゆり部隊といえば集団自決が知られていますが、それ以外にも悲惨な最期を遂げた学生がたくさんいます。動因された当初、彼女らは、きれいな設備の整った病院で兵隊さんの看護ができると思い、自分が学校で使っていた筆箱や硯、教科書や下敷きなどを持って移動した生徒もいたそうです。看護の仕事の合間に勉強ができると思っていたのです。でも、移動した先で彼女たちを待ち受けていたのは、想像を絶するような過酷な毎日でした。手鏡やくしを持参していった女学生もいたそうですが、鏡を見る余裕なんて一日も無かったのです。
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ひめゆりの塔は後ろの記念碑ではなくこの小さな石碑のこと。左に見えるのが第三外科壕跡。

e0066369_110675.jpg平和祈念敷地の入り口でお花を買って、お供えしてから、隣にあるひめゆり平和祈念資料館に入館しました。この資料館で見たことや感じたことは、私の文章力ではここに書き切るのが無理だと思いますので、あえて書きません。でも、行ってよかったと思っています。もともと私は、今後南部方面にいつ来るかわからないので、この機会にひめゆりの塔の他の南部戦跡(平和祈念資料館やアブチラガマなど)も周ろうと思っていたのですが、この資料館にいる間に、「今日は時間を気にせずここだけをしっかり見ておこう、他の場所には次の機会に行こう」と思いました。資料館の中で、生存者の証言のビデオや手記を読みながら大勢の人が泣いていました。みんな一様に重苦しい表情をしていました。でも、みんな、目をそらさず、ひとつひとつ手記に目を通し、ビデオを観ていました。ビデオの部屋と手記の部屋はつながっていて、私とティカは何度もその2つの部屋を行ったり来たりしました。手記を少し見て、胸が苦しくなってビデオの部屋に戻り、ビデオを観ているとまた息苦しくなって涙が出てきます。でもこの部屋からなかなか出られませんでした。全部見ておきたいと思ったのです。結局閉館時間になり、残念ながら全ての手記とビデオを観ることはできませんでしたが。

日本の修学旅行は、もっと沖縄を訪れないといけないなと思いました。ちなみに私の中学の修学旅行は東京と富士山、ディズニーランド、そして高校はスキー合宿でした。スキーでなく、この場所に来たらよかったのになと思います。広島や長崎は修学旅行先としてもメジャーですが、沖縄の修学旅行がもっと増えてもいいのではないでしょうか。なぜなら学校で沖縄戦について習う機会はほとんどなかったからです。沖縄戦が、日本対アメリカという単純な構図だけでなかったことは、ここに来ればよく分かりました。私たちが学校で教えてもらえなかった理由も。実際、私が家に帰って、母とひめゆりの塔を訪れた感想について話したときも、母も「私も学校で習っていないし、ほとんど知識もない」と話していました。母に見せるために資料館の公式ガイドブックを購入しました。このガイドブックには、展示の内容が全て詰まっています。この本を手に入れる方法は現在、直接ひめゆり平和祈念資料館で購入するしかありません。今、帰ってきてから少しずつ読んでいますが、ぜひ、多くの人に読んで欲しい貴重な本だと思います。
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by cita_cita | 2006-02-28 21:58 | 沖縄
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