タイから戻って思うこと

さて、2006年の年明けはタイで迎えたわけですが、今回の旅は、会社勤めを続けつつちょくちょくアジアに行ってきた私にとって、ある意味これまでの積み重ねの集大成という感じがしました。
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e0066369_2394217.jpgたとえ1週間以内の短期間であっても何回かアジア旅を続けていると、最初は絶対できないと思っていたことが少しずつ少しずつできるようになってきます。
それは例えば、空港で悪い客引きに捕まらず目指す宿にたどり着くこととか、買い物や乗り物の代金を値切ったり交渉したりすることや、紙がなくてかめに貯めた水しかないトイレに行くこととか、地元の人と同じご飯を躊躇せず食べることとか、バイクがものすごくいっぱい走っている信号のない大通りをじわりじわり横切って渡りきることとか、そのようなことです。そして、それを苦にならないな、意外と楽しいかもと思えるようになったときに今回カレン族の村に行って、「ああ、今までの旅は今日を最高に楽しむためにあったのかも」と思いました。もし、最初の旅で今回の行程を回っていたら、あんなにみんなと仲良くなれなかったかもしれない。真っ暗な中、ロウソクを持ってトイレに行き、器用に片手で用を足したり、夜がふけるのも忘れて輪になって一緒に歌合戦をしたり、順番に回ってくる材料の分からない、でもやたら辛くておいしい食べ物をつまみながらよく分からない栄養ドリンクで割ったビールで乾杯したり、それを心から楽しめたかどうか疑問に思うのです。

e0066369_2310162.jpg私の初めてのアジア体験は13年前の中国でした。その頃は上海も、北京も今の10分の1もビルが建っていなくて、通貨は外国人用と中国人用の二種類がありました。ご飯はどれもおいしいと思えなくて、こわごわ食べては首をかしげていたのを覚えています。東南アジア初体験は、7年前のバリ島でした。夜、空港からヌサドゥアの高級ホテルに向かう最中、薄暗いオレンジ色の街灯の下、何をするでもなく歩道にしゃがんでぼんやりとこちらを眺めているバリ人を車窓から見て、暗闇に溶け込んだ顔の中に目だけがギョロッと目立っているように見えて不安になりました。ヌサドゥア地区をぐるりと囲む塀を出たとたんに、一斉に布やアクセサリーを持った人たちが私をめがけてやってきて、本当に怖かった。(今よりもっと規制が緩くて売り込みのキツイ時期でした) 

e0066369_23102460.jpgでも、結局は、それは私が「知らなかった」世界だから、怖く感じたのだなと今では思います。今回、カレン族の村を訪れるに当たっても、実は色々考えました。「あんまりジロジロ見たり写真を撮ったら悪いよな」とか「面と向かったとき、どう接したら一番いいのかな」とか。友達になりたいな、という気持ちはあるものの、果たしていざその場に立ったら自分はどういう反応をするのかなと不安になったり、物見遊山的気分で彼らの暮らしを覗きに行くのは間違っているのではないかと考えたりしました。それは私と同行した3人の友達も同じだったと思います。それが、現地に行って、カレン族の人と接してみて、一晩ですっかり消えました。彼ら、彼女らは、本当に普通に自分たちの生活を楽しみ、家族仲良く新年を向かえ、お正月だからとちょっと夜更かしをしてみたりカラオケでタイポップスを歌って盛り上がってみたり、何も私たちと変わらなかったからです。最初に彼女らの村に足を踏み入れ「本当に首が長い!顔が小さい!」と思ったその数時間後には、もう彼女たちの首輪は私の目には奇異なものでもなんでもなくなりました。旅と共にした友人、うっしーは「首輪があるか無いかなんて、今やほくろがあるかないか程度の違いにしか見えん」と言い、エグサは「なんか逆におしゃれに見えてきた」と言っていました。外見上の違いなんて、そんなものなんだと今回深く実感しました。

e0066369_23103867.jpgたくさんのカレン族のみんなと輪になって宴会をしていると、その中にも色んな人たちがいることが分かります。すごく人懐っこくて、腕を組んで私の肩に頭を乗せてくる子、全員にちゃんと飲みものが行きわたっているか、みんなが楽しんでいるか気を配っている姉さん肌の子、カラオケが大好きで、歌いだしたら赤ちゃんがおっぱいを欲しがって泣くまでマイクを離さない子、新婚さんで旦那さんの写真を見せてというと恥ずかしそうに、でもラブラブな写真がいっぱい詰まったアルバムを2冊も持ってきてくれた子…私たち日本人とどこが違うのでしょうか。結局、人の違いって外見じゃないのだ、中身なんだなぁ。それを確認し、安心し、行ってよかったなと思いました。カレン族の村を訪れる観光客の中には「もっと田舎だと思っていたのでがっかりした」とか「あまり近代化されず、昔のままの暮らしを守り続けて欲しい」とか思う人もいると思いますが、彼女たちだっておいしいものを食べたいし、恋もおしゃれもしたいし、子育てでストレスが溜まったらカラオケで発散したりしたいと思います。だから、私は今のままでいいと思うのです。たとえ住むところがミャンマーであっても、タイであっても、それ以外のどの場所であっても、カレン人としての自分たちに誇りを持ち続けられて、毎日が彼女らにとって充実したものであればいいなと祈っています。
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最後に、楽しい時間のきっかけをくれたのぞみちゃん、ありがとうね。またいつか会いたいね。
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by cita_cita | 2006-01-22 23:09 |
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