「ゆっくりさよならをとなえる」 川上弘美

e0066369_1113346.gifゆっくりさよならをとなえる」は芥川賞作家 川上弘美のエッセイ集。(余談ですが直木賞とか芥川賞を受賞するとその日から枕詞のように「芥川賞作家」「直木賞作家」と付きますよね。まるで女性が結婚して新しい苗字になったかのような…いや、離婚したら苗字は戻るけど、賞は一生ものですもんね)この人のエッセイは大好き。小説も受賞作品の「蛇を踏む」をはじめ、「センセイの鞄」「神様」「ニシノユキヒコの恋と冒険」「古道具中野商店」など、おとぎ話と現実の中間みたいな雰囲気のものが多いのですが、エッセイを読むとやはり不思議&おとぼけパワー炸裂で「ああ、あの小説はこういう感覚の持ち主だからこそ生み出されたものだったんだ」と妙に納得がいきます。

この本の中で「いままでで一番多く足を踏み入れた店は本屋、次がスーパーマーケット、三番目は居酒屋だと思う。なんだか彩りに欠ける人生ではある。」と始まるエッセイがあります。私の場合はどうだろう?と考えてみると、1番目は間違いなく本屋のような気がします。たしかに居酒屋も多いと思いますが、居酒屋歴と比べると本屋歴の方が長いので。(当たり前だ) この1年間で考えると1番目が本屋、2番目がコンビニ、3番目は図書館でしょうか。図書館には地域の図書館と会社の図書室を含みます。私の図書館通いが頻繁になったのはここ4年ぐらい。それまでは本屋で立ち読みOR購入で済ませていました。でも、ふと「久しぶりに行ってみようかな」程度の気軽さで図書館に行ってから、私の読書ライフは激変しました。その変化のプロセスは以下の通り。

図書館は本を無料で借りられる(2週間で10冊だから最大月20冊)→本屋だと吟味に吟味を重ねて購入する本を選んでいたけど深く考えずどんどん借りられる→ジャンルに偏りなく、買ってまで読まなかったような本にも触れることができる→しかも面白くなければ途中でやめても罪悪感がない

自分の買った本が途中で読まれないまま部屋の隅に眠っているのを見るのは辛いものです。まるで手付かずの通信教育の教材をみて自分はダメ人間だと落ち込むように(笑)でも、絶対本との相性ってあると思うのです。本って、人間と同じような気がします。「いい人(本)なんだけどお付き合いするのはちょっと」とか「あの人(本)の言ってること、分かるんだけど合わない」とか「あの人(本)と一緒にいるとどうも息が詰まる」とかあるんですよね。それは人(本)の良し悪しではなくて、もっと個人的レベルで自分との相性だと思うんです。だから、合わない本があって当然だし、ベストセラーの本をどうしても面白いと思えなくても自分はひねくれ者だと思う必要はないわけです。逆に今までたまにちらっと見かけるだけの人(本)とふとじっくり接してみて新たな世界が広がることもあります。図書館は、そういう可能性を広げてくれる場所だと思うのです。

図書館で本を借りると、前の人が借りたときの「貸し出し本リスト」(レシートみたいなの)が挟まってるときがあります。誰が借りたのかはわかりませんが、自分と同じ本に興味を持って借りた人が、他にはどんなものを借りたのかというのは、すごく参考になります。ちょうどAmazonの「この本を買った人はこんな本も買っています」と同じですね。そうやって、どんどん読みたくなった本を図書館の検索システムで探します。京都市の場合「今、この本は貸し出し中か」「京都市全体でこの本を何冊所蔵しているのか」「予約は何件あるのか」などが瞬時に分かり、予約をすると本が届いた時に電話またはメールで図書館からお知らせが入ります。遠くの図書館の蔵書であってもちゃんと最寄りの図書館に届けてくれます。こんなサービス、民間企業にはできないですよね。来年1月からはその検索・予約も家からインターネットでできるようになるそうで、これからはますます図書館のヘビーユーザーになりそうな予感がする私なのです…。
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by cita_cita | 2005-12-12 22:05 | 読書
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