アイルランドAGAIN~旅をする人、迎える人~

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さて無事に到着したキンセールはアイルランド南東部の港町。
かつてはキンセールの戦いの舞台となった歴史のある街ですが、現在は「ヨーロッパで一番可愛い町」に選ばれたこともある美しい場所です。車をインフォメーション横の駐車場につけ、オフィスでガイドのDonさんのことを訪ねようと入ったらカウンターには何人も人が並び忙しそう。
e0066369_126535.jpg一旦外にでて、そこで看板を立てていたおじさんに「ツアーガイドのDonさんという人を探しているのだけど知ってる?」と聞いたらなんだか一瞬間があった後、「僕がそのDonだよ」だって。えーっ!探す間もなく、もう見つかっちゃった。慌てて自己紹介を終え、Eさんからの伝言を伝えると「今から時間はあるの?」と質問が。「実は夜までにキラーニーに移動しようと思っていて、運転に慣れていないから遅くても4時過ぎぐらいに出なくちゃいけない」と伝えました。すると、「今からウォーキングツアーのガイドをするから、特にやることがなければ一緒について来る?」とのこと。もちろん喜んで参加しました。1時間ぐらいのツアーでしたが、内容はキンセールの成り立ちと歴史についての話がメインでした。ヨーロッパ史に疎い私には、正直50%ぐらいしか理解できなかったのですが、それでも1時間ゆっくりと歩き回るうちにこの可愛い町をすっかり気に入ってしまったのです。

e0066369_1315777.jpgツアーが終わるとDonさんは私を連れておすすめのシーフード店に行き、きれいなオレンジ色のスモークサーモンのブロックを購入し、自宅でワインと共に振舞ってくれました。Donさんの家は海を見下ろす高台に建つ白い家で、リビングからは海が太陽を反射してキラキラ輝いているのが見えます。そこで自分のことや家族のこと、Donさんの仕事の話などを聞きながら私は言いました。「今からキラーニーに移動しないといけないのが本当に残念。でもキンセールがこんなに素晴らしいところだと分かってよかった。次回はぜひここに滞在するつもり。」すると、Donさんから「じゃあ今からでも、ここに滞在することにすれば?君は今日の宿をキャンセルすることでお金を取られるかもしれない。でも今日私の家に泊まれば、最初からキンセールの宿を予約していたのと同じだろ?」との申し出。一瞬どうすればよいか分からず考え込んでしまった私に、Donさんはこう付け加えました。「もちろん無理にとは言わないよ。これは君の時間だし、君の旅だ。自分の時間をどのように使いたいかは君だけが決められることなんだ。でも、もし君がキンセールを気に入ったなら、そしてここをもっと知りたいと思うなら僕は喜んで部屋を提供しよう。4時までこの町を散歩しておいで。それからどうするか決めればいいから。」

e0066369_14141.jpgそして、外を散歩しながら、まだ私は迷っていました。一番不安だったのは、今日中にキラーニーに移動できないことで、後の日程と運転が大変になってくるのではないかということです。キラーニーではケリー周遊路という場所を、そしてその翌日にはディングルに移動して半島を一周するつもりでした。でも、そこではっと気付きました。私がアイルランドに来たのは、何も予定を正しくこなすことが目的だったわけじゃない。アイルランドのよさを、自分の目で確かめ、たくさんの人と接してたくさんのことを感じたい、そう思ったから。予定通りのコースを回れなくてもいいじゃないか。そして、私は待ち合わせ場所に戻り、Donさんに伝えました。「私を今日キンセールに泊めてください。私は今から、自分の旅と時間を、今起こっていることをそのまま楽しむことに決めました。」Donさんは笑顔で私と私の車を家に迎えてくれ、それから遅めの(とは言っても、8時まで明るいのですが)ハイキングとドライブに出かけました。その途中にもまた、大きな虹が見えました。1日に2度もこんな虹が見られるなんて、それだけでアイルランドをもっと好きになった瞬間でした。

e0066369_1415986.jpg夜はDonさんが友人に声を掛けてくれて、みんなで一緒にSpinnakerというレストランへ。店を出てからも「サプライズがあるよ」と、今度は私をミステリーツアーに連れて行ってくれたDonさん。あらかじめ予約してくれていたのです。キンセールはアイルランド随一の美食の町としても有名で10月には国際グルメ・フェスティバルが開催されます。もちろんお料理はびっくりするぐらい美味しかった。でも私には、この夜、テーブルに並んだどの料理の味よりも、楽しかった時間の方ばかりが思い出されるのです。その夜、私に与えられた快適なベッドにもぐりながら考えました。私は日本に来た旅人と出会って、こんなふうに相手をもてなすことができるだろうか。こんな思い出をあげることができるだろうか。お金や家の大きさは関係ないと思うのです。今も、京都に友人を迎えたり、旅行者と出会ったりするたび、この日のことを思い出すのです。
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by cita_cita | 2005-12-05 23:11 |
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