アイルランドと私

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アイルランドにはこれまで2回行きました。
一度目は1999年から2000年に変わるミレニアムの時。2回目は2004年の9月。
なんでまたアイルランドかっていうと、別にケルト音楽に興味があったわけでもパブめぐりをしたかったわけでもなく、アイルランド出身の友達ができたことがきっかけでした。彼は京都の大学で英語を教えていて、日本語検定受験のために私と日・英の交換レッスンをしていたのです。とても表現力が豊かで、ユーモアがある、典型的なアイルランド人。故郷アイルランドがいかに美しく素晴らしいところかをよく聞かされていたので、そんなに素晴らしいところならぜひ!と半年前から旅の計画を立てていました。ところが年末の旅行が近づいた頃に、私にとってちょっと辛いできごとが重なってしまいました。一人で色んなことを進めていく自信が無くなってしまい、こんなときにひとり旅なんてと、なんだか億劫になってきちゃったんです。予約をキャンセルすることも検討しましたが、結局、考えた末に気分転換も兼ねて行くことにしました。冬のアイルランドは日照時間が短く晴天の日が少ないこと(朝は8時過ぎて陽が昇り、夜は4時過ぎには暗くなります)、そしてお正月の時期に田舎を旅してもオフシーズンで訪れる場所が限られていることから、行き先は首都ダブリンと北アイルランド第一の都市ベルファストに絞りました。

後で振り返ってみて、このときの旅は私にとって本当に思い出の旅になりました。 冬のアイルランドは肌寒く、空は曇っていて、霧のような雨が降ったり止んだりの繰り返しです。クリスマスも済み年の暮れになると、博物館や遺跡は閉まっていて入れないところもたくさんありました。明るい時間が短いので、昼間に行動できる範囲も限られます。必然的に楽しみはパブ巡りと地元で出会った人達との交流になります。寒くて何もない時期だからこそ、「人」の温かさが際立って感じられました。私にとって一度目のアイルランドの印象は、「とにかく人が素朴で陽気で温かい国」。

例えばパブに一人で入ります。ロンドンでこれをやっても、皆私が入ってきたのには気付いているけど気付かないふりで放っておいてくれます。ちょっと寂しいけど、これがイギリス式のスマートさ。でも、ダブリンではこうはいきませんでした。私が店に入ると中はギュウギュウ、みんなカウンターに肩を寄せ合って自分のグラスの前に陣取っています。5分ぐらい経った頃、隣のお客が最初に喋りかけてきました。私がどこから来たのか、いつまでいるのか、日本では何をしているのか、アイルランドは好きか。一人が喋りだすと、みんなどんどん喋りかけてきます。ガヤガヤした店内でも聞こえるよう、大きな声で、「私はこういう人間です。あなたは?」と、自分のことを一から説明しているうちに段々自分に対する自信というか自分を好きな気持ちを取り戻してきました。そして私のギネスが空になると、どこからかお代わりが。店主のおごりでした。次に隣のおじさんが飲んでいるアイリッシュウイスキーが気になって「それはどのウイスキー?ブッシュミルズ?それともジェムソン?」と尋ねると「これはタラモア・デュー。うまいよ!飲んでみるか?」とまた一杯。まさに日本の立ち飲み屋のノリです。そのうち流しのバンドが来て、店の中で演奏。みんなで盛り上がってまた一杯。バンドが次の店に移動するとき、何人もの客がバンドと一緒に後を付いて店をハシゴします。まるでブレーメンの音楽隊(笑) でも本当に楽しかった。あのときほどお酒が弱くなくてよかったと思ったことは無かったなあ。

その時パブで口々に説教されたのが「こんな寒い時期に来るなんて君はバカだな。アイルランドは夏に来なくちゃ。そして田舎を回らなくちゃここに来た意味がないよ!」ということ。その時から「もう一度アイルランドに来よう、そして田舎を回ろう!」と決めて、5年後にアイルランドを再訪することになるのです。2回目の旅についてはこれから書いていきたいと思います。

後日談:後でイギリス人とこの話をして、「イギリスのパブでは寂しい思いをした」と言うと、「それはロンドンの話!田舎は違うよ。ロンドンだけがイギリスじゃないんだよ。」と言われて深く反省。ちなみにその人はウェールズの出身でした。
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by cita_cita | 2005-11-29 23:06 |
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