シングルモルト匠の技講座@サントリー山崎工場

サントリーの山崎工場。阪急やJRで大阪に行く途中、いつも途中に見えるのですが、ここの雰囲気が好きで今まで何回か工場見学に行っています。

工場見学は無料で年中開催しているのですが、今、期間限定で3種類の有料セミナーが開催されているとのこと。サントリーからきたメルマガで知りました。(メルマガ会員なので定期的に連絡が来るのです 笑) セミナーは「ハイボール体感講座~山崎のハイボールをつくろう~」「シングルモルト楽しみ方講座~もっと知りたい!ウイスキーの魅力~」「シングルモルト匠の技講座~樽熟成の神秘」の3種類。正直工場見学だけでもかなり内容が充実しているので、わざわざ有料ってどんなよ?と思いましたが、テーマも面白そうだったので、3つめの匠の技講座に参加してみることにしました。

まず、最初は製造工程を見学します。ここは通常の工場見学ツアーと同じです。

原料は二条大麦。麦は六条大麦と二条大麦があるのですが、普通麦といえば日本では六条大麦。麦の穂を上から見たときに穀粒が2列なのが二条、6列が六条です。六条のほうが粒が小さくて、麦茶や押し麦の原料になります。二条は2列しかない分、一粒が大きくて、ビールや麦焼酎の材料になるそうです。

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麦を細かく砕いて温水と一緒に仕込みます。ここで麦のでんぷんが糖分に変化していき、時間をかけてろ過していきます。この工程を行うのが仕込み槽です。ここで麦汁(ばくじゅう)ができます。麦茶に砂糖を加えたような味らしく、結構おいしいのだそう。

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麦汁(ばくじゅう)を発酵槽に移して、酵母を加え発酵させます。発酵槽はこの木桶とステンレスのがあるそうです。

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次は蒸留です。ポットスチルという蒸留釜で2回蒸留します。向かって右側が1回目の蒸留、さらに左側の釜で2回目の蒸留を行います。写真ではわかりませんが、この部屋かなーり蒸し暑いです!

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実はポットスチルの形は1つではありません。手前のようにくびれのあるタイプだと蒸留されたものが一旦くびれ部分にぶつかってさらに上がっていくのでとがりのない穏やかなタイプの原酒、奥のようなポットだと香味成分がそのまま残る力強いタイプの原酒ができるのだそう。こうやっていろんなタイプの原酒を作るのが後のブレンドにも大切なのだそうです。

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これができあがったばかりの原酒。ニューポットといいます。この時点ではまだ透明なんです。ウイスキーのあの色は樽で熟成しているうちに出てくるものなのです。あとでこのニューポットをテイスティングしましたが、アルコール度数60度ぐらいあるのでただのきっついウォッカか泡盛みたいな感じでした。あまりおいしくないです。

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ニューポットを樽詰めして、貯蔵します。山崎工場自慢の貯蔵庫。ずらりと樽が並ぶ姿は圧巻です。この部屋、常にウイスキーが樽から蒸発し続けて熟成を続けているため、部屋中ウイスキーの匂いで充満しています。日によって香りの強さも違うそうですがこの日は特に強かったようで呼吸をしているだけで空気中のウイスキーを飲んでるみたい。お酒弱い人は絶対この部屋に居るだけで酔うと思う。でもセミナー参加者はみんなウイスキー好きなのでみんな結構うれしそうでした(笑)

樽は木やサイズの違いによって5種類使われていて、それぞれ違った味になるし、サイズが違うと熟成のスピードも違うそうです。(小さいほうが早く熟成する)

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樽の中の様子。右は4年、左は12年目の樽。見えにくいですが左の樽は右よりも蒸発で原酒の量が減っていて、色は熟成が進んで濃くなっています。

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これはサントリーが所有する一番古い樽。1924年、サントリー創始者の鳥井信治郎が作らせたものです。それまで日本でウイスキーを作るなんて失敗するに違いないと思われていた中、周りの反対に合いながら作ったのだそうです。それは日本人の口に一番合うウイスキーをつくるため。ここから日本のウイスキーの歴史が始まったんですね。

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セミナールームに戻る途中、山崎の水が出ているところを見ました。めちゃくちゃキレイなの、わかりますか?この水があるから、サントリーはここをウイスキー作りの場所に選んだのだそうです。その昔、千利休もここに茶室を構えたそうなので、名水というのはよく分かりますよね。鳥井社長はこの水と出会ってすぐスコッチウイスキーの本場スコットランドに送って専門家に鑑定してもらい、ウイスキー作りに最適だと確認してここに場所を定めたそうです。

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透明すぎて水が見えないですよね…写真だと水底の砂利しか見えません。

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途中、椎尾神社という神社の前を通りました。実はサントリーローヤルは、創業者の鳥井信治郎が、この神社の鳥居に掛かる桜の花びらをイメージしてブレンドしたとのこと。ボトルキャップのデザインもこの神社の鳥居からヒントを得たそうです。

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さて、いよいよお待ちかねのセミナーです。テーブルの上にはずらりテイスティンググラスが!手前左から、ニューポット(モルト0年)、モルト4年、モルト12年。ここで年数による熟成の違いを見ます。奥の4つは樽の違い。ホワイトオーク、シェリー、ミズナラの単品の樽からの原酒と、それをブレンドして作った山崎12年。

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実はテーブルと椅子も、役目が終わって潰した樽の木材をリサイクルして作ってあるのだそうです!!

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テイスティングは、サントリーのチーフブレンダーである輿水(こしみず)さんのインストラクションビデオを見ながら一緒にやります。これがわかりやすくて、しかも面白かった!ひとつひとつ、グラスを手にとって手順を教えてくれます。そしてまるでソムリエみたいなボキャブラリー、表現の豊富さ。

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テイスティングはまず色をじっくり見ます。色は熟成年数や樽によって変わります。そしてグラスを軽く回して(ワインみたい)香りをかぎます。ここで輿水さんは色んな表現をします。たとえばニューポットだと「穀物の力強い香り」、4年目だと「蜜の入ったりんご」「バニラ」「ビスケット」、12年目になると「ビターチョコレート」「熟した桃」「余韻の長さと強さが圧倒的」とか…。まるでソムリエと同じですね。

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みんなめっちゃ真剣にやってます。でも大好きなウイスキー、しかも山崎を飲みながらなので、かなり楽しい作業です。

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そして樽による違いを確認します。ホワイトオークは欧米でも使われる一般的な樽材。輿水さんの表現を借りると「みずみずしい」「バランスよく穏やか」「ふっくらと甘い」。次のシェリーは明らかに色が濃いです。「厚みがある」「凝縮された甘い香り」「バニラというよりも甘い焼き菓子のよう」「ドライフルーツ」、そしてミズナラは日本でしか使っていない非常に重要な樽。「お香(白檀)のようなオリエンタルさ」「ハスの香り」「ふっくらとゆでた栗」のような香りです。

そしていよいよこれらを絶妙にブレンドした山崎12年。全ての味が少しずつ複雑に合わさっています。「りんご」「熟した柿」「マーマレード」「甘さとともに適度な苦味(=苦味はウイスキーの魅力)」。普段、バーで奮発して山崎12年を飲んだときよりも、もっともっとおいしく感じました。山崎、すごいです。やっぱり先生がいいから?それとも環境?

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そして仕上げにハイボール講座。贅沢にも山崎10年と12年でつくります。この10年と12年の違いも面白かった。10年は「フレッシュな果実」、12年は「熟した果実」。

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山崎の水で作った氷、山崎の水で作ったソーダで割ったハイボール。まず氷をグラスいっぱいに入れ、ウイスキーを注いでからマドラーで10回転、氷を1つ足してソーダを注ぎ、さらにすくうように1回転。それだけなのに、なんでこんなにおいしいの!と思うぐらいおいしい!!

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そしてハイボールとおつまみの相性ということで用意されたのはチョコレート、おかき、マカロンと最中。なんとこの最中が一番相性がいい!講師の方によれば、これは日本のウイスキーならでは、とのこと。意外な発見でした。

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楽しいセミナーが終わり、資料館を見学。ずらりならんだ原酒のライブラリー。圧巻です。

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カウンターではサントリーのを含む各国のウイスキーを破格で飲むことができます。最後に私が飲んだのはサントリーの別工場で作ってる白州の限定品、蒸留所秘蔵モルト。

はぁー飲んだ飲んだ。とはいえ、テイスティング中は気をつけてなるべく途中で口に含んだお酒を紙コップに吐き出すようにしてたので、へべれけになることはありませんでした。これも過去の失敗経験から学んだこと。山崎工場では色んな勉強ができますね(笑)

このセミナーは10月ごろまでやってます。近くにはアサヒビールの所有する大山崎山荘美術館もあるので、お庭の美しい春か秋に行くのもお勧めですよ。
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by cita_cita | 2010-08-16 10:18 | その他
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