「ビューティフルアイランズ」

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映画「ビューティフルアイランズ」を見てきました。

気候変動に揺れる三つの美しい島、温暖化で最初に沈む島といわれる南太平洋のツバル、高潮に悩まされているイタリアのベネチア、永久凍土が溶けて島が削られているアラスカのシシマレフ島。それぞれの島で、環境の変化に直面しながらも故郷を愛して生きる人々の姿を3年間にわたって撮影したドキュメンタリー映画です。

この映画には余計なナレーションやBGMらしきものはほとんどありません。人々の言葉や、お祭りの音、さざなみや風の音などで構成されています。

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特にツバルの海の美しさが印象的でしたテレビでも何度も報道されているこの島ですが、改めてじっくりと見るこの島の美しいことといったら…。そして人々のつながりや暮らしぶりも。「この島が沈むなんてありえない。だって神様が守ってくれるから」と言う子供の瞳の強さも。でも、そういう彼らの遊び場である浜辺から少し離れた沖には、侵食によって削られた砂のせいで根元から倒れてしまった椰子の木がゆらゆらと水底に揺らいでいるのです。

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彼らの暮らしは全てがゆっくり。「朝起きて、学校に行って、帰ってきて、ゴハンを食べて寝るの」と言う女の子。木の実から取れる水分を集めるためにたっぷり時間をかけて手作りの装置をつくり、またたっぷり時間をかけて中身が溜まるのを待つおじいちゃん。お祭りのための髪飾りをのんびりのんびりおしゃべりしながら編んでいくおばあちゃん。島が沈んでしまうということは、ただ引越しをすればいいということでなくそこに育まれてきた先祖や土地の記憶を捨てなくてはいけないということでもあるのです。

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シシマレフの暮らしにも変化がありました。絶対に溶けないからそう名づけられえたはずの永久凍土が溶けていって、土は海に流れ、海岸沿いの家に住む人たちは自分の家が海に落ちて崩れていくのを黙って見ることしかできませんでした。狩りに行く途中、薄くなってしまった氷が割れて足を滑らせ、冷たい海に落ちて命を落とした息子の思い出を語る両親も出てきます。

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そして衝撃的だったのがベネチアの映像。この写真、どこだかわかりますか?サンマルコ広場です。合成ではないです。潮位が高い時にはこうなるんだそうです。

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高潮情報が出ると市の職員がどこからかぞろぞろと現れて慣れた手つきで通路を組み立てていきます。レストランでも椅子をテーブルの上に上げ、2Fだけで営業する準備。「市長が今度は堤防つくったから大丈夫だって行ったけど、また冠水したじゃないか」とぶつぶつ文句を言いながら2階で飲む市民。もうみんな慣れてしまってるんです。ワーグナーやマリア・カラスも泊ったという名門ホテル・ダニエリで、水につかりきったロビーの中を長靴を履いていつもどおり勤務する従業員。重厚なアンティークに囲まれたコンシェルジュ・デスクが水の中に浮かぶ島のようで、そこにカッチリしたスーツと長靴でぽつんと立っている従業員の姿は、なんか滑稽なコントのようなシュールな光景でした。

この映画には余計な説明やメッセージはないので、どうとらえるかは見た人次第。キレイ!と思う人もいれば、大変!と思う人、怒りを感じる人や怖い!と思う人、さまざまでしょう。地球上で温暖化は起こっていませんという政治家や学者もいますが…。でも、ひとつ思うのは、自分の大好きな場所がなくなってしまうのは、誰だって絶対に嫌に違いないだろうってことですね。その政治家も学者も例外なく。
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by cita_cita | 2010-08-14 10:30 | 映画
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