「神戸新聞の100日」

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前に記事を書いた神戸新聞ドラマの原作となった本です。原作の本は7日間じゃなく、100日となっています。

主なストーリーはドラマと重複するのでここでは書きませんが、こちらにはドラマに出てこなかった内容もたくさん含まれていました。ドラマでは主人公の櫻井君演じる新人カメラマンの視点が中心になっていましたが、この本にはもっともっとたくさんの人のエピソードが紹介されています。

新聞を取材する者、編集する者、印刷する者、配達する者、そして全体を指揮する者の話がドラマには出てきていました。こちらではそれ以外にこんな人たちの話も出てきます。壊滅したメインコンピュータシステムを再構築するために奔走した富士通のSEや共同通信のシステム担当、松下電送の機器担当。崩壊したビルの状況確認を行い代わりの場所を確保したり、新事務所の電源・空調・施設を担当をした竹中工務店の社員。京都新聞から神戸の印刷工場までのフィルム搬送が滞ったときヘリを出し協力することを即決した共同通信社。急場を凌ぐために必要な現金の確保や不眠不休で働く社員への給料が期日通りに振り込まれるように走り回った経理担当者。取材・編集・制作部門が最優先であり自分たちは裏方だからと、作業場所を譲り、階段の踊り場に机を構えた総務・管理部門の社員。再建に必死になっている本社に迷惑をかけられないと、自力で記事を書き、編集作業を行い、地元印刷店の門を叩いて臨時地域版を発行し続けた但馬、丹波、淡路、姫路、明石などの地方支社・総局メンバー。本来すべて受注生産であるはずのコンピュータシステムの機器を早急に揃えるために中国新聞からサブコンピュータ、中日新聞からCWS、毎日新聞、読売新聞、報知新聞からも自社の機材が提供されたそうです。

あの混乱の最中に、それぞれの人たちがそれぞれの持ち場で自分のするべきことを全うしようとした姿を尊敬します。

そして巻末には「被災地の1826日」という章が。そこでは、仮設住宅に移った人や老齢者の孤独死などの問題はもちろん、それ以外の現実についても書かれていました。たとえば自力で家を建て直した人たち。ほとんどの人たちは、つぶれた家のローンの残りを払いつつ、新しい家のローンも払うという二重ローンを抱えているわけで、そんなことはこれを読むまで考えもしませんでした…。そうか、そういうことなんですよね、地震で家を失うっていうのは…。あと、震災後の混乱時に兵庫県から出て暮らしを立て直した人たちには、補助金が出なかったりとか。当初補助金は兵庫県に対する義援金でまかなわれていたから、国としての補助は無かったらしく…でもそんな非常事態において、補助金が出るからここに住もうとか、兵庫県から出ちゃまずいとか、そこまで考える余裕があるわけない。結果的にはその後の署名運動や多くの働きかけによって、制度が変わって、さかのぼって補助が出たそうですが、そういうことって震災当時のセンセーショナルな報道と比べると驚くほど取り扱いが小さいから、当事者以外には気にも留めないっていうのが現実なんだろうなぁと実感しました。
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by cita_cita | 2010-02-24 22:02 | 読書
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