「必死のパッチ」 桂雀々

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「必死のパッチ」…大阪弁で「必死のさらに上」、「必死」と「死に物狂い」を足して、さらに「がむしゃら」を掛けたようなもの。私も子供の頃、よく聞いた言葉だけど、そういえば久しぶりに耳にしたかも。

ホームレス中学生のヒットもあって、芸人さん以外の芸能人も子供のころの苦労話や貧乏話をオープンに話せる雰囲気になってきましたよね。メッセンジャーの黒田とか、次長課長の河本とか、大沢あかねや上原美優(種子島の子)とか…。みんなそれぞれびっくりするようなエピソードがあるのですが、最近は結構そういう話にも慣れてきたと思っていました…この本を読むまでは。

読んでる最中の私の感想…「これはあかんやろ、これは!」。形容詞一言で表現するならば「えげつない」。そう、ひど過ぎるという言葉では足りないぐらいのすごい経験です…さすがに、麒麟の田村が「これやったら、ホームレスのほうがまだマシ」というぐらいの。借金まみれのオトンに愛想を尽かしたオカンは小学生の雀々少年を置いて出て行き、オトンの欠陥人間ぶりにはますます拍車がかかり、そしてついにある日「オトンが俺を刺そうとした!」。

「も、もうアカン…!もうアカンねん!ワシも死ぬから、オ、オマエも死んでくれ!」
「オ、オマエ一人で生きていかれへんやろ?せやから、ワシと一緒に…」
「イ、イヤや!イヤや!ボク死にたないっ!
  ボクは生きたいねん!生きるねん!何があっても死にたくないっ!」

ね、えげつないでしょ。確かにこんな親だったら一人でホームレスのほうがマシかも…。そして実際、オトンはこの翌日いなくなり、雀々少年は一人残された市営住宅で中学3年間を乗り切ります。この市営住宅が大阪の我孫子なんですが、私の大学時代の最初の下宿がこの市営住宅の近くだったもんで周りの風景とか思い出しました…。

考えてみれば、ホント救いのない話なんですが、それを笑いをまじえながらテンポよく書き上げた雀々さんがすばらしい。でもやっぱり「親に反抗したり甘えたりできる友達をうらやましく思っていた」なんて読むとホロリときたり。で、最後にはやっぱり元気が出ます。この話は枝雀師匠との出会いで終わるのですが、そこがまたいいんです。

これまで何度も雀々さんの落語は見てきましたが、次の高座ではちょっと見方が変わりそうです。最近雀々さんが子供時代のエピソードを語っている記事を見つけたので興味のある方はこちらをどうぞ。で、さらに知りたいと思ったら本を読んでみて下さい!
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by cita_cita | 2009-04-14 20:44 | 読書
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